山崎文庫の日誌 2020年12月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

12/6(日)
初沢亜利写真展「香港を忘れない」、ギャラリーニエプスの二番煎じで、現在開催中である。開催の主眼は、中国共産党による香港人民弾圧への批判だ。私も異論はない。暴力的な統制に抵抗する香港人民に同情する。しかし、それに義憤を感じ、中国共産党を批判する時、己自身の存在様式と歴史も問わねばならない。そこで、武田泰淳を思い起こした。武田は己自身も加担した日帝の中国侵略(香港も含む)を自己批判し続けた。
また、「自ら手を下さなかった人々といえども、何らかの形で殺人にかかわりのない者はいない。・・・殺されながら殺し、殺しながら殺す。無数の媒介物によって、知らず知らずのうちに、どこかで誰もが人殺しに関係している」(「風媒花」)

武田は比類なき炯眼で、不可視の、構造的な暴力、殺人を洞察した。現在日本人の多くはこの媒介を理解する想像力をもたない。幼稚極まるモラトリアム人間と化した。米帝支配下で、平和国家幻想を抱き、のうのうと米帝侵略戦争に加担し、その恩恵を享受し続けてきた。欺瞞の極みである。
「香港を忘れない」時、我らが先祖日帝の侵略責任も忘れてはならない。また、米帝英帝の世界各地における侵略も忘れてはならない。これは中国共産党の様々な人権侵害を相対化し、免罪することになるのか。そんなマクロな視点に立つことは、非歴史的な態度ではないのか。
とまあ酔っ払いの日曜妄言でした。
皆様、香港写真展、ぜひお越しください!
お待ちしてまーす!
写真はご近所エッセドゥエのグラッパ!

12/13(日)
NHKが東條英機をテーマに番組を放送した。識者の一人、萱野稔人が冒頭、東條はスケープゴートにされた。好戦的であった当時の国民世論に翻弄され、対米戦争を決断した。敗戦後、その全責任を押し付けられ、排除された、と言い放った。半ば正論である。ところが、その後は萱野もその他識者と同調し、東條はなぜ対米戦争を回避出来なかったか、を執拗に云々した。憲兵隊と天皇(天皇の戦争責任追及はおろか、天皇が対米戦争回避を希望していた、とデタラメを云々)を最大限利用して、国民世論と軍部を抑え、外交努力で対米戦争を回避すべきであった、と結論した。東條英機は関東軍の阿片と武力による、悪辣極まる中国侵略を東亜新秩序の建設と死ぬまで正当化し続けた。欺瞞の極みである。
また、対米戦争その他諸々の無謀な作戦を決断し、正当化し続けた。(無論自存自衛の側面を全面否定はできない)しかし、東條といえども戦勝国の一方的で不当極まる極東軍事裁判で死刑判決を受け、不当に処刑されていいわけがない。我々戦後日本国民は自国の総理大臣がこのような扱いを受けて、屈辱も恥辱も感じず、敗戦後75年黙認してきた。(江藤淳のいう米帝のWGIPのせいか?)まさに国賊ではないか。左翼も右翼も無党派も戦後日本国民は一億総国賊である。自分たちで裁くならまだしも、他国連合の不当極まる裁判を隠然と肯定し続けてきたのだから。現に、この番組でそれを誰一人口にしなかった。まさに日本国民総体の恐ろしい集団的自己欺瞞である。かつて竹内好が喝破したように、もうこの国は滅んでいるとしか言いようがない。とまあ、亡国を憂う、酔っ払いの日曜放言でした。
皆様、初沢くんのカッコいい香港写真展開催中です。年末31日まで通常営業しております。
お待ちしてまーす。
写真は最近はじめた近未来型音波振動ソニックスです。10分のるだけでリンパの流れと血流がよくなるとか。肩こり治るらしいですが、まだ効果はありません!

12/17(木)
私もかつて大変お世話になった、日本の性風俗産業の基本サービスはこうだ。
おっぱいパブ、セクシーパブ
→ディープキス、おっぱいを生で舐め、吸い、揉む、抜きなし
ピンサロ
→ディープキス、生フェラ、口内射精
ヘルス、イメクラ、デリヘル
→ディープキス、生フェラ、口内射精、素股、違法だが、交渉次第でゴム本番、生本番
ソープランド
→ディープキス、生フェラ、アナル舐め、ゴム本番、生本番
アジアンエステ、日本人のリフレ系エステ
→マッサージの後、違法だが、追加料金でディープキス、生フェラ、ゴム本番
まさに超絶濃厚接触のパラダイスである。先進国でこれほど無邪気で無防備な性風俗文化をもつ国はあるのか。まさに土人の国ではないか。
現に梅毒が近年急増しているにもかかわらず、日本人はまるで気にしていないようだ。ましてや新型コロナなんぞ微塵も恐るるに足らずといわんばかりである。
警視庁によれば日本全国に店舗型無店舗型風俗店は約三万軒ある。よって、毎日、日本全国で何百万もの超絶濃厚接触が行われているわけだ。東スポなんぞはゴートゥートラベルを利用したゴートゥー風俗を推奨している。日本人はこうした天真爛漫な性風俗産業を規制しないで、手洗い、マスク着用、手指衛生、ソーシャルディスタンスに狂奔する。また、現在7割以上が緊急事態宣言再発令を待望しているという。本末転倒も甚だしい。
我々飲食業界に時短要請する前にやることがあるだろ!!ボケ!ガースー!選挙区外だろうが、川崎のソープでも視察、体験して来い!とまあ、酔っ払いの木曜放言でした。皆様、山崎文庫は通常営業しております。暇なんで天然ソーシャルディスタンスです。お待ちしておりまーす。初沢くんの香港写真展も好評開催中。
写真は来月12日からはじまる、初沢君の写真展(小伝馬町のRooneeさん)のご案内です。自信作満載だそうです。こちらもよろしくお願い申し上げます。

12/19(土)
二十歳の冬、フランス語はおろか英語も話せないのに、単身パリ旅行に出かけた。(我生涯唯一の海外旅行)哲学者アルチュセールが研究し、生活し、妻を絞め殺したエコールノルマルをこの目で見たかったからだ。目的を果たした後はひたすらパリの街を歩いた。或る日、モンパルナスに行った。カフェセレクトに入った。店内で偶然、写真展が開催されていた。よく見ればなんとkatsutoshi hatsuzawaと書いてあるではないか!前年大学の講義「カミュの思想」で知り合った友人初沢亜利君の御父上だ!単純な私は運命的な出会いだと感動したものである。あれからもう25年も経った。
この度、その御父上が積年カフェセレクトにて撮影された写真で構成された写真集
「パリ左岸 深夜の客」を出版された。その出版記念写真展を山崎文庫で開催していただくことになった。なんとも感慨深い!
来年1月4日から31日まで。皆様、ぜひお越しください。尚、この写真集は山崎文庫でも昨日より販売しております。

12/27(日)
テキーラチャレンジ、チンピラ経営者が主催した、テキーラ1本15分以内に呑めば賞金10万円というゲームだ。それに若い女性が挑まされ、失敗し、死亡した。チンピラは週刊誌の取材を受け、挑戦者が自由意志で参加した、と開き直った。マルクス本源的蓄積論を思い起こす。資本家と労働者の関係は一見、賃金と労働力の等価交換である。しかし、その関係性は前史の暴力課程によって存在する。よって、両者は決して対等ではない。それと同様に、テキーラチャレンジは臓器売買、売買春、原発労働等々、いわゆる奴隷的存在が担う賎業、不等価交換である。これらの犠牲者は可視的、不可視的な暴力により、「環境の強制」(資本論第7篇24章第三節)を余儀なくされ、捨て身の交換に応じざるを得ないのだから。そこに自由意志など微塵もない。なーんて言う私も若い頃、散々女性に売春を持ちかけた。脱ぎなし、抜きなしの健全店か手コキ専門店で金をぶら下げて交渉した。テキーラチャレンジと何ら変わらない。私もチンピラと同類である。とまあ日曜放言でした!今夜も呑んだくれております。皆様、初沢君の香港写真展開催しております。お見逃しの方はぜひ。年末年始の営業予定です。お待ちしておりまーす‼️
写真は末光美幸さん撮影。
12.28 月 通常営業
29 火  〃
30 水  〃
31 木  〃
1 金 休業
2 土  〃
3 日  〃
4 月 初沢克利写真展初日

12/30(水)
手塚先生、初沢君に感化され、今年はとんかつをよく食べた。今や有名店が取り扱うのは全国各地の銘柄豚である。なかでも林SPF、TOKYO X、平牧三元豚が突出している。いずれも飼育環境や飼料に徹底的にこだわり、その豚肉は、豚特有の臭さが微塵もない。赤身も見事な霜降りである。しかし、私はあちこちで流行りの銘柄豚を食べた後、物足りなさを感じた。とんかつの醍醐味は豚臭さ、よく言えば野性味ではなかったか、と(上京して初めて黒豚とんかつを「にいむら」で食べて感動した)そこで、先日久々に六白黒豚(大門「のもとや」)を食べてみた。すると三切れでギブアップした。豚臭くて食えないのである。郷愁なんてものがいかに幻想にすぎないかを痛感した。人間は後戻りできないのだ(感動の一回性)と改めて歴史性を意識させられた。
というわけで、来年も「とんかつ同好会」に注目していきたい!
皆様、初沢君の香港写真展、明日までとなりました。今夜も呑んだくれてお待ちしておりまーす!
写真は先日初沢君と食べた、世田谷「太志」さん(手塚先生のお膝元)の吉野川ポーク、特ロースカツ。
これは今年のハイライトです!


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