山崎文庫の日誌 2020年11月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

11月8日(日)
老舗の左翼雑誌でポンコツ右翼とエセ左翼が対談した。両者とも対米隷従を批判し、三島由紀夫、天皇アキヒトを賛美した。日米地位協定見直しを云々した。しかし、所詮見直しだけである。彼らは米帝打倒、日米同盟破棄を絶対口にしない。米帝の戦争犯罪、日本本土への原爆投下、無差別爆撃に対する謝罪、賠償も求めない。あろうことか天皇ヒロヒトの戦争責任を継承しているアキヒトを聖人化する。戦後、米帝侵略戦争に加担した責任もその恩恵享受にも一切言及しない。また、国防も全面的に米帝任せ、自衛隊の軍隊化、徴兵制にも言及しない。彼らが望むのは、ただ、日米関係を少しでも日本に有利な条件に改良してもらいたい、己の痛みを伴う改革は絶対に拒否したい、それだけだ。幼稚な駄々っ子の極みである。さすが世界唯一のモラトリアム国家日本の右翼と左翼である。いずれも米帝庇護の大前提は共有する、紛れもない国賊である。にもかかわらず、彼らは口先だけ領土問題に拘泥する。竹島、尖閣、北方領土、沖縄、すべて米帝支配の目眩しである。そもそも米帝から本土も奪還できていないのに、何が領土問題か。反政権ごっこ、反米ごっこもいい加減にしろ!とまあ日曜放言でした。しかし、そんな私になんの方策もないことは言うまでもない。エセ絶望して今夜も呑んだくれてまーす!
皆様、末光美幸さん撮影の睡蓮みどり写真展、今週もやってます。
今週の睡蓮さん在バー日は、10火曜日、12木曜日、13金曜日となります。お待ちしてまーす。
写真は最近、大阪から進出してきた、「人類みな麺類」の坦々麺‼️サカスの前にあります。

11月13日(金)
小学校の頃、野球少年であった。PL学園黄金時代、KKコンビの全盛期だ。私は大の清原ファンであった。新聞や雑誌で切り抜いた清原の写真や打順表を筆箱、下敷に貼り付けた。関連書物は悉く買った。とりわけ85年夏の甲子園に熱狂した。テレビに齧り付いて応援した。準々決勝からの三試合、清原の神懸かり的な打撃に陶酔した。実に10打数8安打、5本塁打、7打点、しかも決勝の2本塁打は、いずれも値千金の同点本塁打だ。そんな天才清原の甲子園全打席を動画でアップしてくれた人がいる。一年夏か3時間45分、清原の全打席、何度見ても飽きない、永遠不滅の記録、お好きな方はぜひ!!!ご覧ください。今夜も私はこれを見ながら呑みはじめまーす!
文庫では睡蓮さんの写真展、11月21日土曜日まで開催しております。写真集、プリントも販売しております。宜しくお願い致します。

11月20日(金)
10数年前、私は某上場企業子会社の代表取締役であった。当時、親会社の会長が逮捕され、親会社及びグループ会社の株価が暴落し、危機に瀕した。そこで、最高顧問(顧問料年間4000万)に相談した。すると、年利70パーのファンドがある、と男二人を紹介された。胡散臭い連中であった。が、顧問は政財界の大物と太いパイプを持っていた。だから、そのファンドに藁をもすがる思いで飛びついた。実際、顧問とその連中同席の下、そのファンドを購入している名だたる大企業のトップや元閣僚経験者らに会った。またそのファンドは某証券会社(顧問が筆頭株主)と某投資顧問会社を買収した。益々信用した。よし、これで俺たちも復活だ!と投資家にそのファンドを自信満々で営業した。(投資家には大変申し訳ない)しかし、その後徐々に配当が減額され、滞り、最後は連中と連絡が取れなくなった。開けてみたら古典的なタコ足配当の詐欺ファンドであった。連中は自己破産して逃亡した。顧問も剛腕弁護士に守られてか、お咎めなしであった。投資家には有名企業、著名人が多く、民事裁判もほとんど起こされなかった。言うならば、ナスダックのマドフ事件のミニチュア版(マドフは逮捕されたが)である。私の経験上、多くの人間はいくら合理的に完璧な説明を受けても投資しない。ただ信用だけで、売買履歴すら確認せず(彼らは絶対に開示しなかった)非合理的な投資をする。それにしても顧問はその後何件も詐欺会社の片棒を担ぎながら、逮捕もされず今も健在のようだ!恐ろしい生命力である。とまあ、つまらない昔話でした!
皆様、本日、明日で、睡蓮•ベンジョンソン•みどりさんの写真展(末光美幸さん撮影)終了です。呑んだくれてお待ちしておりまーす。

11/22(日)
私の、俺の三島由紀夫、我こそが三島を語る資格あり、と騒ぐ奴らが嫌いだ。石原慎太郎、瀬戸内寂聴、平野啓一郎、美輪明宏等々、こいつらは最晩年三島の戦後日本批判を直視できない。三島の内面的な問題を執拗に問い、その本質的な批判を回避する。ナルシシズム、ヒロイズム、ミドルエイジクライシス、サバイバーズギルト、肉体的性的なコンプレックス、ノーベル賞落選云々。最晩年三島の根源的な日本批判は右翼左翼も含む戦後日本人総体の大欺瞞を痛撃した。米帝に国防を任せきり、隠然と米帝侵略戦争の片棒を担ぎ、その恩恵をぬくぬくと享受して、平和国家幻想を抱き美学と経済に邁進する、一国平和主義と文化主義の欺瞞を痛烈に批判した。
「平和を守るにはつねに暴力の用意が必要であり、守る対象と守る行為の間には、永遠のパラドックスが存在するのである。文化主義はこのパラドックスを回避して、自らの目をおおう者だといえよう」
これを賛美しようが唾棄しようが、日本人総体は、三島の批判を免れない。三島は日本人総体の集団的大欺瞞、極度の暴力忌避、モラトリアム性を突いているのだから。なーんて言ってみたものの、私もただの欺瞞的なのんだくれ、三島からしたらパラドクスに目を覆う者でしかない!とまあ今週も酔っ払いの日曜放言でした!
明日から土曜日まで6日間、豊島さん企画、若き女流画家たちのヌード画展です。

11/28(土)
まもなくお年玉の季節だ。来年47歳の私はお恥ずかしながら、25歳までお年玉をもらい続けた。母方の祖父武之は兵庫のド田舎で薬局、新聞代理店、玩具屋、お菓子屋等を経営した。高卒で特攻崩れ、宵越しの金は持たない、豪快な人であった。孫たち全員に誕生日祝いとお年玉を年齢に応じて渡した。10歳なら10万、15歳なら15万というように。なかでもとりわけ初孫の私は優遇された。春夏秋冬、帰省する度に何十万と小遣いをもらった。だから欲しいものは何でも手に入った。学生時代は書籍、性風俗、美食に散財した。しかし、そんな祖父が死んだ時、借金だけが残った。会社を継いだ叔父はぼやいた。放漫経営のツケを回された、と。よって、親族皆祖父からの遺産は皆無である。(生前散々皆世話になった)正反対に、遺産をたっぷり残して、死んでから喜ばれる贈与もあるのかもしれない。普段はケチくさいのにこんな遺産を残してくれたのか、と。果たして、どちらが正しい贈与なのか。祖父の私に対する刹那的な贈与、蕩尽に私は蕩尽で応じた。が、それは単なる刹那ではなく、今でも忘れえない、永遠の刹那である。
なーんて皆様、お年玉をもらいすぎるとこんな駄目人間になります!というわけで今夜も呑むぞー!
豊島さん企画のヌード画展、本日が最終日となります。お待ちしておりまーす!


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