大酒飲みを沢山見てきた。彼らには大別して二つの型があると思う。山崎文庫の日誌 2020年10月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

10/1(木)
来週から伊島薫さんのご紹介で、かなりラディカルな日本画家、木村了子さんに展示していただくことになりました。木村さんはイケメン男性をモチーフに様々なテーマで日本画を描いておられます。乞うご期待ください。私も楽しみにしております。

木村了子「水と黒」展
10月10日から24日まで
夕方5時から深夜店主が呑んだくれてへたるまで
皆様、お待ちしております。9日夕方には展示してあるので、ご覧になれます。

尚、初沢君のコロナ禍写真展は横浜元町で明日から開催です。こちらも文庫でお見逃しの方、横浜にお出かけの方、とにかく初沢君のくどい創作余談がお聞きになりたい方、ぜひどうぞ!
明日はレセプションパーティーが18時からあるそうです。
2020年10月02日〜
13:00開始 〜 17:00終了
神奈川県横浜市中区元町1-38-2
費用:無料
問い合わせ先:株式会社五六
TEL:045-311-5100

尚、もぬけの殻となった今夜も5時から営業しております。ちびちび一人呑みながらお待ちしております!

10/4(日)
「日本学術会議への人事介入に抗議する」とポンコツリベラル、エセ左翼共が騒々しい。だいたいこいつらの大前提がナンセンスである。日本は敗戦後、米帝の核の傘の下、自主防衛を放棄し、実質的に属国化した。経済と美学に生きることを選択した。米帝の侵略戦争、人権侵害に加担した。その恩恵を享受してきた。世界平和、核拡散防止もスローガンだけ、現実的には紛れもなく米帝の奴隷、侵略国家である。我々が憲法9条のおかげで核とも戦争とも無縁である、平和国家である、というのは欺瞞の極み、狡猾な共同幻想にすぎない。
 よって、日本学術会議なんぞこれまでも原子力潜水艦日本帰港反対、軍学共同反対を提言した程度で、こんなもんそもそも欺瞞の極みである。
本気で世界平和、核拡散防止を思うなら、日米同盟破棄、天皇ヒロヒトの戦争責任追及、天皇制打倒、アジア太平洋侵略の戦後賠償でも主張してみろ、あほども!とまあ今夜も日曜放言でした。写真は初沢くん撮影。皆様、横浜へお出かけの際はぜひ初沢くんの写真展へ!

10/6(火)
久々に早稲田古書店街へ。多くの店がコロナで営業休止していた。が、虹書店は朝10時半から開けていた。グラムシ、ローザルクセンブルク、アミン、プーランツァス、梯明秀、黒田寛一、廣松渉等々、マルクス主義者の力作、労作がずらりと並ぶ。26年前はじめて来た時とまるで変わらない。どれもこれも驚愕の安価だ。それにしても重苦しいのなんの、46歳日和見主義者には耐え難い陳列棚であった。

10/10(土)
最近、何よりファクト(事実)が大事だという言説をよく耳にする。しかし、そもそも裸のファクトなんか存在しない。ファクトは常に既に汚染されている。己がファクトだと信じるものがいかに時空の制約、歴史的地理的制約を受けているか。先入観、思考範型、集合的無意識によって支配されているか。これは私の若い頃、当たり前の認識であった。村上陽一郎全盛期、彼を通じてハンソンの理論負荷性を学んだ。理論が先にありき、そのあとファクトが収集される。今日、この基本的な認識もないアホなモラトリアム学者、教授、准教授(こいつらをもてはやすバカマスコミ)が跋扈している。こいつらは己の思考様式、感情様式、生存様式を微塵も相対化できない。右派も左派も村上陽一郎の日本学術会議批判の要諦をまるで理解できない。絶望的な世界である。
皆様、本日より木村了子さんの展示、はじまりました!ラディカルな絵に囲まれて呑む、快楽と恐怖!皆様もぜひ、お待ちしてまーす!酔ってまーす!

10/12(月)
サウナ後、赤坂見附をよれよれぶかぶかの長袖Tシャツに、サンダル履きで歩いていたら、若い女性警官に職質された。身分証出せと言うからマイナンバーカード見せたら即解放された。何が問題でしたか?と尋ねた。なんかウロウロされてたので、どうされたのかな、と思いました、とのこと。46歳、過激派でもなんでもないノンポリ、飲み屋の親父、二日酔いでだらしない格好してるとこうなるのか。人生初の職質であった。
皆様、本日も伊島薫さんご紹介で、木村了子さんの作品展開催しております!

10/14(水)
店のそば、赤坂通りを歩いていたら、おー、山ちゃんと声をかけられた。20代半ば3年ほど毎晩通った居酒屋の店長であった。いきなり、歳とったなー!と言われた。普段お世辞とはいえ、お客様に若いと言われなれている私は一瞬不快感を覚えた。しかし、目の前にいる店長は当時のままであった。恐ろしいほど20年前と同じだ、まるで老けてない!太ってもない!よって、店長も老けましたね、とは言い返せなかった。矢継ぎ早に、今何してるの?と聞かれた。答えに窮すと、近所に勤めてるの?店移転してやってるから今度来てよ、と言われた。わかりました、お邪魔します、と言ってそそくさと立ち去った。いやあ、懐かしいような、恥ずかしいような、悔しいような再会であった。店長の店は深夜3時までやっているらしいので、今度20年の空白を埋めに、また不老の秘訣を聞きに行こうと思う。 
写真は26日から展示していただく末光美幸さん撮影。酔っ払い放言中。
本日も5時から、木村了子展 「水と黒」開催中です。
10月24日まで。皆様、格調高いけれどパンクな作品群をぜひご覧ください。お待ちしております。

10/15(木)
dancyu編集長がテレビで渋谷魚力を訪問し、サバ味噌の作り方を伝授してもらっていた。7時間煮込み、煮汁を全部捨てて、水、砂糖、ネギ、味噌だけ入れて1時間煮込んで、1日寝かして完成らしい。(定量的な手間暇だけはかかっている)
さっき20数年ぶりに訪問した。写真は脂の乗ったカミ。dancyu編集長は「今日も明日もおいしくて10年後も食べたい」なんて言ってた。が、私はもう当分食べたいと思わない。生きてたら20年後だな!
皆様、本日も5時より、木村了子展開催しております。イケメンの陰茎、尻、天皇、人魚、男娼らに囲まれ、呑んだくれてお待ちしてまーす!

10/21(水)
生前、天皇ヒロヒトは日帝侵略戦争の責任を問われ、「そういう言葉のアヤ」、「文学方面」はよくわからない、とこたえた。A級戦犯や軍上層部に全責任を被せ、己の戦争責任から逃亡したまま死んだ。
また米帝の原爆投下を「やむをえないこと」だと肯定した。米帝の侵略戦争に反対したこともなかった。そんなヒロヒトの息子が現上皇アキヒトである。アキヒトもまた口先だけ平和を祈るばかりで、アジア太平洋侵略について一切謝罪せず、日本兵を慰霊しただけ、米帝による本土無差別殺戮に謝罪、賠償を求めることはなかった。また米帝の侵略戦争に反対することもなかった。
平和主義者を気取り、建前上は核廃絶、戦争反対を唱え、実質的には米帝の侵略戦争に加担し恩恵を享受する。戦前のアジア太平洋侵略に謝罪も賠償も半端なまま。
まさに天皇はそんな日本人総体の象徴、集団的な自己欺瞞の象徴だ。天皇を赦すことは己を赦すこと、天皇を賛美することは己を賛美すること。なーんて偉そうに言ってはみたものの、偉大なる奥崎謙三や天皇制打倒、米帝、日帝打倒を掲げ命懸けで闘った戦前の日本共産党や東アジア反日武装戦線みたいにはなれない。というわけで今夜は木村さんの天皇画を見ながら呑んだくれておりまーす!
皆様、木村了子展「水と黒」24土曜日まで、あと残すところ4日となりました。ぜひぜひご覧ください!お待ちしておりまーす。

10/24(土)
私がもし無人島に一枚CDを持っていくとしたら、死んだ時棺に入れてほしいCD一枚と聞かれたら、絶対これしかない!
キースジャレット、ヘンデルのクラヴィーア組曲。久々にかけてみた。六本木時代、これを耳にした何人もの人が、その場でAmazonに注文した。しばらく無限ループでかけてみよう。
今夜は木村了子さん展示の最終日、皆様お待ちしてまーす!

10/25(日)
六本木時代、初沢君に睡蓮みどりさんを紹介してもらった。それから一人でもよく飲みに来てくれた。去年の夏、彼女のヌード写真展を開催した。毎晩、大虎睡蓮さんと呑むのは実に愉快だった。今年も末光美幸さん撮影、睡蓮みどり写真展「赤と黒」を開催します。睡蓮さんと呑んだくれる一か月、楽しみです!皆様もぜひご参加ください。
写真集、プリントも販売しております。
宜しくお願い申し上げます。
尚、明日は睡蓮さんのお誕生日です。皆でお祝いしましょう‼️
10月26日から11月21日まで。
日曜定休

10/27(火)
大酒飲みを沢山見てきた。彼らには大別して二つの型があると思う。ベンジョンソン型とカールルイス型だ。前者は最初からガンガン大量に呑みまくって(ロケットスタート)、やがて失速し、沈没する。後者ははじめちびちび呑んでいて途中からぐんぐん加速してぶっちぎる。余人の追随を許さない。(中には稀に両方を兼ね備えた化け物もいる)彼らに共通するのは酒はあくまで手段であって、酔うことが目的である、という酒飲みの根本テーゼを揺るがせないことだ。酒について蘊蓄垂れるなど本末転倒である、と。私のような偽物の酒飲みはまるで太刀打ちできない。昨夜は睡蓮みどり写真展初日、睡蓮さんは期待通りの見事な酔いっぷりであった。彼女を類型化するなら紛れもないベンジョンソン型大酒飲みである。
皆様、睡蓮みどり写真展「赤と黒」(末光美幸撮影)開催中です。本日も睡蓮さん在BARされてます。
お待ちしてまーす!

■先月

目の前で泥酔している人を見たら酔えない。山崎文庫の日誌 2020年9月

■次月

私の、俺の三島由紀夫、我こそが三島を語る資格あり、と騒ぐ奴らが嫌いだ。山崎文庫の日誌 2020年11月


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