語弊を恐れずにいえば、ガーリー版友川かずきとでも形容したくなる凄味を感じました。編集Sの日誌 2020年10月

10/5(月)

かつて徳間書店から刊行され、2020年5月号をもって休刊となっていた女性ファッション誌「LARME」。その後、創刊編集長である中郡暖菜氏が社長を務める㈱LARMEを発行元に復刊。9月17日に2020年秋号が発売されるも、前号の3倍以上の売上げを記録して完売した。発売記念のオンラインイベントには64万人もの視聴者が集まった。

本が売れたというニュースはいつ聞いても良いものだが、紙の雑誌が10~20代の若い女性に売れたとなると、喜びもひとしおである。
かねてから仲間内では「バンドやっててモテないなんて馬鹿らしい」と言ってきた(モテないけど。まず、ライブハウスに女子がほぼいない)。
一生懸命頑張ってるフィールドに女の子がいないなんてつまらない。仕事だって同じだ。成果を出したらキャーキャー言われたい。まず言われないけれど。
せめて、「紙の雑誌は格好良い!」と若いギャルに再認識してもらいたいものだ。

かつて、雑誌は最もイケてるメディアの1つだった。エロ本だって格好良かった。携わっている編集者やライターたちは表現者としての矜持をもち、取材費や交際費を湯水のように使っていたのだ、多分。
今や雑誌は、CDなんかと並んで落ち目のメディアの筆頭に数えられるが、それでも頑張っている雑誌はコンテンツの質と伝え方を追求し、新たな読者を獲得している。

色々なメディアがあるが、俺は雑誌が好きだ。川保天骨氏じゃないけれど、表紙や構成に統一感をもたせ、変化を加えながらも連綿と続いていくという、この連続性が好きなのだ。
俺がアーカイブフェチだからだろう。歴代のバックナンバーの表紙を並べて総覧することは快楽だ。ここに可愛い女の子が写っているなら、なお良い。しかも各時代の流行を反映したいでたちでだ。だから、どんな雑誌が好きかと言われると、実は女性ファッション誌が一番好きだ。

とくに、この「LARME」みたいにキラキラした女の子が登場する雑誌は最高だ。「CanCam」「小悪魔ageha」「Popteen」、そしてこの「LARME」……。いずれもファッションのテイストが違うから女性の読者が被ることはあまりなさそうだけど(「Popteen」から「小悪魔ageha」への移行はあるかもしれない)、俺は全部大好きだ。古本でバックナンバーを集めて悦に入ったこともある。

こうした雑誌をつくることができたら最高だろうな、と思うけれど、雑誌を読む視点が女性読者とかなりズレているから到底無理だろう。
とまれ、「LARME」が復刊して良かった良かった。

10/9(金)
かつて出版業界の取次会社に勤務し、今はIT系企業に勤めている知人からヘッドハンティングされる夢を見た。めっぽう生々しい夢だった。
この知人から来たSNSのメッセンジャーには、「取次会社時代に比べて、年収が倍になりました! 仕事はきついけど、毎日が新しいことの連続でやりがいがあります。事業の拡張に伴って人員が不足しているので、杉本さんも一緒に働きませんか」云々。なんだかありそうな話である(年収が倍、というところがリアル)。

夢の中の俺はこの誘いを受けるか否か真剣に悩んだ末、結局断った。
その断りの理由が、「私は今の職場で自分の能力を活かし、好きなことをやりながらノーストレスで働いています。しかも、まだこの仕事で目指すべき高みがある。年収が増えるのは確かに魅力的だけど、今挙げた現職のメリットを捨ててまで、何をやるのかよくわからない仕事に就くわけにはいきません。ご勘弁ください」云々。夢の中で悩んで出した結論だが、目が覚めてから考え直してもやっぱりこの理由になるだろう、というものだった。

ちなみに、この夢のせいで目が覚めたのが午前5時。夢の中で頭を使いすぎたせいか、思考がグルグル回ってその後は朝まで寝つけなかった。

10/10(土)
大森靖子「絶対少女」(2013)
語弊を恐れずにいえば、ガーリー版友川かずきとでも形容したくなる凄味を感じました。

10/11(日)
あまり夜の街に飲みに出られない秋の夜長の寂しさを、「あぶさん」を読んで紛らわせている。

「昔は良かった」論をあまりぶちたくはないけど、70年代の日本の雰囲気が好きなので、こういう作品が描ける漫画家が確実に減少していることを寂しく思う。

■先月

埼玉県立熊谷図書館で調べものと執筆。編集Sの日誌 2020年9月

■次月

NightwingsのロゴとFacebookページができました。編集Sの日誌 2020年11月

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