【10/11更新】歴史が証明する、なんて言葉は悲しいかな、現況劣勢か完敗している負け犬の遠吠えにすぎない。山崎文庫の日誌 2022年9月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

9/6(火)
長く闘病していた大叔母が亡くなった。上京したての頃、散々世話になった。にもかからず、コロナ禍に紛れて、ろくに見舞いも電話もせずじまいだった。薄情なものである。いくら胸の内で感謝しようが、態度で示さなければ忘恩と同じである。謝意を念じれば相手に通じるなんぞただの独りよがり、誇大妄想にすぎない。
振り返れば人生そんなことだらけである。忘恩と不義理に満ち溢れた歴史だ。まあ今更後悔しても仕方がない。
というわけで、今夜も開き直って呑むぞー!!
皆様、p.m.Kenさんの写真展今週土曜日までとなります。写真集も好評販売中。尚、森綾さんの処女短編集、10月にうちで個展を控えたサイトウマサミツさんのスケッチ集も引き続き販売しております。お待ちしてまーす!

9/8(木)
歴史が証明する、なんて言葉は悲しいかな、現況劣勢か完敗している負け犬の遠吠えにすぎない。スターリンの圧政がその死後、断罪された、またはネルソン・マンデラが釈放され大統領になった、というような局所的、暫定的な、奇跡的事例を極大化しているだけだ。いつかは正義が勝つ、というのは儚き願望にすぎない。やはり、パスカルの言う通り、大概人間は正しいものを強くできず、強いものを正しいものとしてきたのである。アサンジ、スノーデン、マイケルムーア、オリバーストーン、週刊文春がどれほど巨悪を叩き続けようが、一向に世界は改善しないことがそれを証明しているではないか。歴史は中立公平な神ではない。まさに絶望的である。というわけで呑むしかない!
皆様、p.m.Kenさんの展示、明後日10日までとなります。ぜひご覧ください。尚、引き続き森綾さんの処女短編集、10月展示のサイトウマサミツさんのスケッチ集も販売しております。お待ちしてまーす!写真は創吉さんのオリジナルタンブラー、ミケーネオールドとミケーネハイボール‼️

9/11(日)
今や好好爺風情の父はかつて、短気で、単細胞で、暴力的であった。道端でも飲食店でもパチンコ屋でも電車でもエレベーターでもマナーの悪い奴らがいれば、誰彼ともなく殴りかかった。無論、母も私も妹もよく殴られた。そんな父への怒りを糧に中学3年から哲学、思想を読みすがった。高度な理知性を身につければ、絶対父のような野蛮人にならないと信じた。しかし、私は悲しいかな、「無制限的歓待」(デリダ)「高度な倫理性」(サイード)には遥かに届かず、親父譲りの野蛮人に成り果てた。これは不勉強のせいで十分に理知的でないからか、三子の魂百までだからか(環境決定論)、親父の野蛮遺伝子のせいか。いずれも正しいにちがいない。まさに絶望的である。あとは枯れ果てて死に行くのを待つのみだ!というわけで今夜も呑んだくれてまーす。

9/14(水)
昔、北里通りにスナック白金という小さな店があった。古い荒屋の一階で、ムーミンパパみたいにヌボーとしたおっさんが三十年以上経営していた。閉店まで10年近く、毎晩のように通った。元旦も大晦日も共に過ごした。その店には癖の強い客がわんさかいた。マスターに絡んだり、愚痴をこぼしたり、八つ当たりしたり。それでもマスターは感情を表に出さず、寡黙にニコニコして受け流していた。無論、私もその悪い客の一人だった。しかし、私が文庫をやる数年前、ある日突然店を閉めると言い出した。長年、人の怒り、悲しみ、苦悩を浴び続ける、掃き溜めの役割を担い(水商売の本来的在り方ではないか)疲れ切ったんだろう。その後、交流は途絶えた。散々迷惑かけ、依存しておいて、薄情なものである。人伝に、いまは廃人のように暮らしていると聞いた。私もマスターを目指して掃き溜めになる覚悟を持たねば!なーんてわがままな私には到底無理か。というわけで、呑んだくれてお待ちしておりまーす!

9/20(火)
東銀座のど真ん中、昭和通り沿いの路面に、古ぼけた新刊書店が鎮座している。Books KAIZOである。久々に訪問した。ポールリクール『時間と物語』、『ゲーデル、エッシャー、バッハ』、『ユリシーズ』、デリダ『哲学の余白』、『丸山眞男集』、竹西寛子『贈答のうた』、西部邁『妻と僕』、『須賀敦子全集』からフランス書院、旅行ガイド、グルメ本、百田尚樹『殉愛』、『六法全書』、『大書源』まで玉石混淆の品揃えだ。岩波文庫も全色充実している。都内広しといえどもこんな破茶滅茶な新刊書店は稀有ではないか。しかも、お客は全然来ない。にもかかわらず、悠然としているのだ。
先日、赤坂では新刊書店が絶滅した。書店消滅は全国的な現象である。そんな中、時代に逆行して屹立するBooks KAIZOにカンパーイ‼️さあ呑むぞー‼️
皆様、平野タカシ写真展開催中です。尚、来月個展開催予定のサイトウマサミツさんのスケッチ集、森綾さんの処女短編集も引き続き販売しております。お待ちしてまーす。

9/28(水)
先週、冷蔵庫の霜取りをした。金槌で巨大化した霜をガンガン叩く、恒例の作業である。全力で金槌を振り下ろすと、霜がゴロゴロと崩れ落ちる。これがなかなかの快感である。しかし、いつもの通り乱暴にぶっ叩いていたら、なんと金槌の先端が霜の先にある冷媒ガスの線に突き刺さってしまった!プシュー!!!ガス漏れだ。爆発するんじゃないかと不安になったが、多少臭いはあるものの、そのうち音はおさまった。まあどうってことないだろう、と思っていた。が、世の中そんな甘くない。冷蔵庫は翌日御陀仏となった。全く冷えないのだ!業者にきてもらうと、古すぎて修理するより買った方が安いとのこと。で、本日新品を納入してもらった!今度のは自動的に霜取りしてくれるのだという。それは素晴らしい。しかし、霜破壊によって晴らしていた憂さは己の内部に沈殿してしまうのか!いかんいかん、呑んで発散しよう!というわけで今夜も呑むぞー!
皆様、平野タカシ写真展土曜日までとなります。尚、来月うちで個展開催のサイトウマサミツさんのスケッチ集、森綾さんの処女短編集も引き続き販売しております。お待ちしてまーす。

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