マルクスは宗教を「幻想的太陽」であるとした。山崎文庫の日誌 2022年7月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

7/4(月)
選挙の度に、投票を他人に強要するポンコツインテリ左翼や俄かファッションリベラル(芸能人やアーティストらに多い)が湧いて出て、うんざりである。彼らは前衛を気取り、無党派の人間(ノンポリまたは無投票を決意した人間)を啓蒙=洗脳しにかかる。おい、お前らバカどもに告ぐ!世界を変えるため、未来を作るために投票は絶対に必要だ。だからつべこべ言わずに選挙に行け!お前ら愚民の薄汚い一票を(エセ)反体制側に、要するに俺様たちに投じよ!行かない奴らは権力に洗脳された永遠の負け犬だ、と。
ふざけるな!!こんな奴らが人権や民主主義や言論の自由を云々するなんぞちゃんちゃらおかしい!
他人に投票と投票先を強要する暇あったら、ブルジョワである己の物質的基盤がどれほど体制と共犯関係にあるか、凝視しろ!とまあアラフィフ酔っ払いノンポリの月曜放言でした。
皆様、今夜より菱川みひろ緊縛画展を開催します。7.4〜7.16 まで。お待ちしておりまーす!
尚、森綾さんの処女短編集、初沢君の林忠彦賞受賞写真集も引き続き販売しております。さあ呑むぞー‼️

7/10(日)
初めて女性器をまじまじと目にしたのは中学時代であった。とはいえ、初の性交体験時ではない。友人宅で開催された裏ビデオ上映会(疑似本番女優小林ひとみ)でのことだ。エロ本もエロビデオも過剰すぎるほどモザイクがかかっていた時代である。初めてモザイクなしに見た女性器は神々しかった。大興奮であった。皆の前で勃起した陰部を隠すのに必死だった。また毎日小林ひとみを独占し、その拝顔の栄に浴する主催者の友人に激しく嫉妬した。
それが今や誰でもいつでも自由に簡単にモザイクなしの女性器画像や動画にアクセスできる。そのアクセスに必死だった体験(エロ本求めて公園のゴミ箱等々を漁りまくった)から解放されている意味で、現状の若者が羨ましい。しかし、そもそも非禁欲的な現状では、私のような欲望が換気されないのではないか。生物学的本能、性欲の様態なんぞ所詮、歴史的地域的産物でしかないのではないか。まあそんなことがわかるのは今で、当時のケダモノ=私にこんな説教は無意味である。非歴史的である。と同時に現代の草食男子に性欲云々するのも同様ではないか。まさに絶望的だ!
というわけで、今夜も呑んでまーす!
皆様、菱川みひろ緊縛画展、来週土曜日まで開催中です。お待ちしてまーす!尚、森綾さんの処女短編集、初沢君の林忠彦賞受賞作品集、サイトウマサミツさんのスケッチブックも引き継ぎ販売しております。

7/18(日)
マルクスは宗教を「幻想的太陽」であるとした。
「宗教上の不幸は、一つには現実の不幸の表現であり、一つには現実の不幸にたいする抗議である。宗教は、なやめるもののため息であり、心なき世界の心情であるとともに精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである」
(『ヘーゲル法哲学批判序説』)
人間は現実の政治的、経済的、法的状況が悲惨であると宗教にすがり、忘我状態と化して己自身(現実的な太陽)を中心として動かない。要するに宗教は諦念と慰安しかもたらさない。だから宗教の迷妄から醒め、現実そのものを変革せねばならない、と。この論理によれば、あらゆる宗教への批判は政治、社会、法への批判に変わる。今回の安倍元総理銃殺事件に関しても、ニュアンスの差こそあれ、同様の論理を展開する知識人が数多いた。社会への不満、経済格差、共同体の崩壊、寄る辺なき不安、孤独感云々。しかし、マルクスの論理は決して旧統一協会にはあてはまらない。彼らは宗教団体を偽装した詐欺、恐喝集団であり、阿片による陶酔どころか、現実的な不幸そのものを生み出している。まさに現実的不幸が結果であり、宗教上の不幸が原因である。結果と原因を取り違えてはならない。よって、旧統一協会による有形無形の支援を受けた国会議員達が間接的責任を追及されても何ら不思議ではない。しかし、残念ながら、今回もどうせ一過的な騒ぎでやりすごされて終わりだろう。まさに絶望的である。というわけで呑むしかない!
ちなみに「絶望は無料です」というフレーズはカルトが流行した学生時代にシャレで「世界絶望教」を設立した知人によるものである。

7/20(火)
昔、元赤坂に「よしはし」というすき焼き屋があった。八代目坂東三津五郎の元邸宅を改装した和風建築の店であった。都内に数多あるすき焼き屋の中で当時、最も肉がぶ厚かった。仲居さんが黄身を崩さず、卵白をメレンゲ状になるまで懸命に泡立てるパフォーマンスが忘れがたい。しかし、何よりも特異だったのは白滝である。ひとしきり肉や野菜を食べた後、極細の白滝が登場する。それを仲居さんがカリカリになるまで丹念に炒めて水分を飛ばす。割下と肉の脂が染み込んだ白滝はすこぶるうまかった!!
池波正太郎はすき焼きにはネギと牛肉しか入れない、と書いていた。私も同感だった。しかし、「よしはし」に行って考えが変わった。白滝が主役級の存在感を放つ料理屋は後にも先にも「よしはし」意外にないだろう。今はなき「よしはし」を偲ぶ。なーんて酔っ払いアラフィフの退屈なすき焼き談義でした。
皆様、舞山秀一さんのご紹介で、SAKI OTUKAさんの写真展「女たち」開催中です。8月13日まで。
尚、森綾さんの処女短編集、初沢君の林忠彦賞受賞写真集、サイトウマサミツさんのスケッチ集も引き続き販売致しております。お待ちしてまーす!

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