【1/30更新】初詣が嫌いだ。慣習とはいえあまりに馬鹿らしい。山崎文庫の日誌 2022年1月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

1/3(月)
初詣が嫌いだ。慣習とはいえあまりに馬鹿らしい。大体何を祈っても願っても無意味である。この世界に神も仏も存在しない。太平洋戦争ひとつ取っても明らかではないか。我らが先祖は一億火の玉となり、神や仏に対米戦争必勝を祈願した。しかし、無惨にも大敗北した。我々はいまだ米帝の奴隷である。にもかかわらず、我々はよくもまあ並んでまでして賽銭投げて、お守りやお札買って、お祓い受けて……。一体どこまでお人好しなんだ?俺は初詣なんか死ぬまで行かないぞー!とまあ新年初放言でした。さあ呑むぞー!
皆様、本年もよろしくお願い申し上げます。山崎文庫は明日より通常営業致します。舞山さんの写真展、29日まで開催してます。お待ちしておりまーす。
なお、初沢君の最新写真集も販売しております。

1/6(木)
お前こないだこう言ったろ、ああ言ったろ!と他人に首尾一貫性、言行一致、初志貫徹を強要する私である。にもかかわらず、自分は言行不一致、変節、転向、前言撤回しまくりである。矛盾である。撞着である。人間はそもそも分裂病だ、多重人格だ、ノマドだ、と開き直ればいいのか。それにしても己自身を信用できない。さっきまでこう思っていたのに、即座に手のひら返しである。そして、また反転する。鉄の意志に、知行合一に、有言実行に憧れる。しかし、決してそれが正しいとも思えない。よって、今夜も飲んだくれてブレまくる私です!酔っ払いましたー!皆さま、舞山さんのかっこいいベルリン写真展29日まで開催しております。お待ちしてまーす!
初沢君の最新写真集も販売しております。

1/16(日)
岸田秀は太宰治を批判した。太宰はやたら自己嫌悪する。私は酷いことした、悪いことをした。しかし、太宰はそれで贖罪したつもりになって同じこと繰り返す卑劣漢である。心情的にいくら反省しても物質的基盤は微塵も変化させない、と(「自己嫌悪の効用」)。これと正反対なのが山本義隆が主張した「自己否定」である。それは己の「日常的存在」そのもの、己の存立条件そのものを苛烈に問うのだから(『知性の叛乱』)
あーあ、昨日も呑みすぎた、暴言吐いた、迷惑かけた、といくら自己嫌悪してもだめだ、自己否定しなければ!なーんていつも通り自己嫌悪して己に甘い私でした!
皆さま、舞山秀一さんのカッコいい写真展、29日まで開催中です。お待ちしてまーす!初沢君の最新写真集も販売中です。宜しくお願い致します

1/19(水)
あんな男(女)とは別れた方がいい、または別れない方がいい。他人には軽々しく言う。しかし、いざ自分が言われると腹が立ち、余計なお世話だ!とわがままな私である。
この世に結婚(または恋愛)の達人なんぞいるわけがない。それを多数経験している者はそれだけ破綻してきたわけである。他方、一つの関係を長期に渡り維持してきたものはどうか。そんな局所的暫定的な事例(奇跡)を普遍化するなんぞちゃんちゃらおかしい。そもそも表面上良好にみえる関係が実質的に破綻している場合もあれば、表面上破綻したかにみえる関係が、他人はおろか当人らにも理解不能の別れ難い何かで緊密に結びついてる場合もある。また刹那的な熱狂的な愛(即座に破綻)とだらだらと微温的な(欺瞞的な)平和的な愛のどちらが正当であると一体誰が決められるのか!!
なーんて酔っ払いの水曜放言でした!
皆さま、舞山さんのかっこいいモノクロ写真展、29日まで開催しております。ぜひ、ご覧ください。なお、初沢君の最新写真集も販売しております。

1/25(火)
今年48歳、これまでお客さん、友人、知人、親族ら無数の死を見てきた。私もいつかは死ぬ。みんな死んでるんだから怖れることはない。フィリップアリエス読んで死の恐怖なんか特殊近代的なものだ。昔の人間は死を飼い慣らしていたんだ、と考えてみる。また、自殺した西部邁が晩年語っていたのを思い起こす。死ぬ死ぬ、て言ってたらだんだん死の恐怖が消えてきた、と。
私もよくいつ死んでもいい、なんて嘯く。が、いざ余命宣告でもされたらどうか。小心者の私は狼狽えるだろう。まあ、いつ死んでもいいと投げやりに生きようが、残りの人生を一瞬一瞬大切に生きようが、死にたくないと生に執着して生きようが、人の勝手である。いや実は自殺だって何ものかに選択させられているのではなかろうか。所詮、人間的営為なんぞたかが知れているのではないか。勝手にならないのではないか。
なーんて、余計なことを考えない様に、呑むしかないな!呑むぞー!
皆様、舞山さんのかっこいいモノクロ、欧州写真展29日までです。2月1日から最近太ってきた初沢君のコロナ禍写真展を開催します。お待ちしてまーす。

1/30(日)
若い頃、初沢君の影響で森山大道にかぶれた。彼の写真、エッセイに熱狂した。とりわけ「犬の記憶」の「街」が忘れ難い。それは別れた女と住んだ街を訪ね、写真を撮る話だ。センチメンタルなようで、そのギリギリでそんな己を突き放す、絶妙なエッセイである。しかし、私なんぞはとにかくセンチメンタルである。長く(長さの基準は不確かだが)付き合って別れた女と出かけた店や街には行きたくない。行けば、無数の思い出が込み上げてきて息が詰まりそうになるからだ。ああしておけばよかった、こうしておけばよかった、不毛な後悔が乱舞する。森山大道の視線は歴史的、現実的であり、私の視線は非歴史的なノスタルジーである。なーんてセンチメンタルな呑んだくれ放談でした!
皆さま、今週から初沢君の写真展です!ぜひご覧ください。舞山さんのカッコいい展示、ありがとうございました。次回も楽しみにしております。

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