東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)
8/2(日)
紀伊國屋書店新宿本店に行ってきた! 一階話題書コーナー、三階社会コーナーに初沢君の最新写真集『東京、コロナ禍』が平積みしてあった。小ぶりながら堂々たる存在感である。この上に面陳されていたのはかのベストセラー『女帝小池百合子』だ。
皆様、この写真集は紀伊國屋まで行かなくても山崎文庫で販売しております。特典は写真家によるサインと創作余談です。創作余談は、梅雨明けには不向きな、かなり暑苦しいものとなりますが、ぜひご賞味ください。明日も16時より、また女帝の要請は無視して、10時過ぎても余裕で営業します。お待ち申し上げております。
8/3(月)
死んだ父方の祖父は関東軍の特務機関にいた。ロシア語ができた。満洲でソ連に捕まった。シベリア抑留を体験した。露助め、とロシア人への恨み辛みを呑んだくれて熱く語った。そんな祖父がなぜかドストエフスキーの熱心な信奉者だった。とにかくドストエフスキーを読め、と幼少の私に強要した。仕方なく一通り読んだ。苦痛だった。激烈に退屈した。が、当時日本ではドストエフスキーを否定する意見は皆無であった。埴谷雄高が生きていた。ドストエフスキーは大文豪、大古典と崇められていた。納得いかなった。そんな中、中上健次がドストエフスキー全集の月報に書いたエッセイを読んだ。よくぞ言ってくれた、と小躍りした。今読み直しても痛快極まりない。そのエッセイで中上はドストエフスキーを読まずに月報書くのは俺だけだろう、と嘯いた。ドストエフスキーを「軽蔑と嘲笑の対象」「よくもこんなに退屈なものを冗長に書けるものだ」「こいつが、一頁つかってくどくど書くところを、俺は一行で書いている」と豪語した。先日、Nさんに島田雅彦の自伝的青春私小説を借りて読んだ。その中にこんな一節がある。「文豪にマウンティングするこの不遜、この自己顕示こそが中上健次だった」。なるほど!不遜で上等、さすが中上健次である。さあ今夜はこれ読みながら呑むぞー!
写真は、酔っ払って他人にあげて、先日買い直した「中上健次全短編」。装丁は李禹煥だ。
皆様、初沢君の写真展「東京、コロナ禍」、10時過ぎても開催しております。宜しくお願い申し上げます。
8/5(水)
図書新聞で某大学教授が書籍化された或る博士論文を書評した。認識利得に比して、自費で買うには高すぎる(税込5500円)、丹念、周到、手堅いが、高価で退屈だ、と断じた。これにポンコツ知識人共同体が猛反発した。最も傲慢で愚劣極まる反論はこうだ。「博士論文は研究者が文字通り命削って書いている。出版物は編集者が命懸けて作っている。学術書への敬意が感じられない」(某学者ツイート)ふざけるなこの阿呆が!人はそもそも博士論文の対象、フーコー、デリダ、ドゥルーズ、ブルデューなんでもいい、そんなもん知るかと言っていいわけである。ましてや博士論文など何をか言わんやだ。また、その論文作成、出版に誰がどんだけ命削ろうが、命懸けようがそれを他人が退屈だと思う権利は剥奪できない。それに敬意を強要する権利はない。退屈なものは退屈である。これはラーメン屋が命削ってラーメンを作る。が、客がまずい、と言う。またはそもそもラーメンなんか嫌いだという人がいる。それにラーメン屋がお前ふざけんな、食え、うまい、て言えと怒るのと同じである。学術世界を特権化してんじゃねえよ!チンケな定量的恫喝に騙されねえぞ。緊張感のない、馴れ合い共同体で勘違いしたチンピラ学者よ、恥を知れ!俺なら5500円あればうな重食うわ!(チンピラ学者はどうせ研究費で落とすから一般感覚が欠落してる)
というわけで、今夜は馴れ合い書評が跋扈する世界に一石を投じた図書新聞にカンパーイ‼️
お盆も通常通り営業致します。皆様、お待ちしております。
8/6(木)
原爆投下は紛れもない、非人道的な大虐殺である。しかし、いまだ米帝国内では原爆投下正当化論が過半数を占める。キノコ雲のTシャツが大手を振って販売されている始末だ。それを隠然と知りながら日本人は原爆投下をあたかも天災かのように受容してきた。我々は戦後75年、世界最大の核保有国家米帝の庇護下で、ストックホルム症候群に陥り、非核三原則を掲げ、欺瞞的な反核運動に励行してきた。ナチスのホロコーストやその他ジェノサイドはやたら非難するのに、米帝には批判どころか、無限に媚び諂い、右翼も左翼も沈黙だ。2016年、オバマが広島を訪問した。原爆投下を謝罪しなかった。しかし、日本人は歓喜した。老被爆者および池上彰は泣いて喜んだ。おかしいだろ‼️オバマに謝罪賠償をせまれよ!本日、しんぶん赤旗で日本共産党は被爆者の悲願苦難を受け止めよ、と安倍政権を非難する声明を出した。おかしいだろ‼️非難すべきは米帝だ、米帝よ、原爆投下による日帝およびその植民地人民大虐殺を謝罪せよ、賠償せよだろ。なーんて、ほざく私も米帝に1ミリも抵抗を示せず、同胞腐して呑んだくれるだけ。最後はかおたんで炒飯食べるだけ!まさに絶望的である。
皆様、山崎文庫では初沢君の写真展、お盆も、十時以降も通常通り開催しております。本人も大概おります。お待ちしてまー。今夜もかおたん行くぞー
8/10(月)
NHKスペシャル「ネパール出稼ぎ村の子供たち」を観た。両親が日本に出稼ぎで不在の子供二人(6歳)の短い会話に瞠目した。
女の子
仕事を選ばなければここだって生きていける
男の子
日本の方が稼げるよ
女の子
どれだけ稼げば満足?お金のためなら人殺しもするの?
男の子
お金はいらないの?
女の子
お金はフェイク、お金のためならなんでもする人がいるわ、ウソの愛で体を売って稼いだり、そんな汚いことしていいの?お金のためならどんなことをしてもいいわけがない
男の子
お金は何より大きいものだよ、愛の力よりお金の力だ
女の子
人生とお金どちらが大事?
男の子
お金だよ。何でも買えるし、生きていける
女の子
お金よりあなたを守ってくれる人が必要よ
男の子
お金があったら大事な人も守れるよ
最後、女の子は男の子との会話をやめ、独り言をいう
この世界を上から見ている空よ、鳥よ、おしえて、貧しくても豊かな心がいい?心が貧乏でもお金持ちがいい?
NHKよ、出来過ぎだろー!しかし、とても演技には見えなかった!皆様のご感想やいかに?
本日は祝日ですが、山崎文庫は通常通り4時オープン、初沢君の写真展開催します。写真集「東京、コロナ禍」(税込1980円)も販売しております。勿論、10時以降も!お待ち申し上げております。
8/17(月)
己も含めて日本人は摩訶不思議な民族である。8月だけ戦争についてやたら云々する。右派は侵略戦争の美化、正当化、神聖化に走り、左派はその口先だけの反省(賠償は断固拒絶)と軍国支配者批判に終始する。無党派は、戦争を天災として受容する。戦中無垢な庶民、女子供が犠牲になった。貧困に喘いだ。爆撃を受けた。なんたる悲劇か。で、米帝の核の傘の下、戦争反対、核廃絶を念仏のように唱える。
右も左も無党派も、欺瞞的な生存様式は同じである。天皇の戦争責任は等閑視!米帝による原爆投下、本土無差別爆撃、ソ連によるシベリア抑留に恨みなし!日帝によるアジア太平洋への侵略、略奪、搾取、虐殺に責任感情なし!
これぞまさに何もかも水に流す、なりゆきにまかせる、丸山真男の言う「日本の原型における生成のオプティミズム」でしか説明できない、我らの摩訶不思議な戦後意識ではないか。やったこともやられたことも見事に忘れさるのだから。無制限的無責任と無制限的歓待、寛容が混在しているのだから。とまあ、こんな諦念に沈潜し、呑んだくれる、猛暑の夜です。
皆様、私の46歳誕生日に、メッセージありがとうございました!
初沢君の写真展、今週も夕方4時から、10時以降も開催し、写真集およびプリントも販売しております!宜しくお願い申し上げます。写真は大好物クラッティーニ、生ウニのスパゲティ。
8/20(木)
マスコミが話題にする反体制、反差別運動なら何でも節操なく反応するポンコツ知識人がいる。その一人が高千穂大学教授、五野井郁夫先生である。例えば、先生は香港の民主化運動支持を高らかに表明する。中国当局を批判する。しかし、中国当局によるチベット、ウイグル、法輪功、中国国内の人権派弾圧には無関心である。日本国内では平和安全法制や共謀罪法に反対する。最近ではAmazonプライムの不買運動や小池百合子に在日朝鮮人虐殺に追悼文を出せ運動等々。安倍総理や小池百合子に罵詈雑言を浴びせる。しかし、北朝鮮による拉致被害や国内の人身取引等にはまるで関心がないようだ。自由と民主主義、平和と人権を守ろう云々、何もかもパフォーマンスだけである。所詮彼はハッシュタグつけて SNSでボエム綴って賑やかし、ポンコツデモに参加してお祭り騒ぎするだけ。とにかく目立ちたいだけ。それで何かやったつもりの独善にすぎない。虚しい独りよがり、チンケなヒロイズム、見るに耐えないオナニーである。こんなのが反体制、反差別なんてふざけるのもいい加減にしろ。こういうと先生は怒り狂うだろう。俺は運動に寄与している、もうすぐ寄与する、いつか寄与する、と詭弁のかぎりを尽くして。無謬無敗のパラノイアだ。私はいつも先生の自己陶酔ポエム読んでウケるね、を押していた。すると、ハラスメントだと警告された。先生は自分の投稿に思い通りの反応でないとハラスメントだというわけだ。なんと暴力的な!これこそ人権侵害、自由の剥奪ではないか。また、私のウケるねが、先生が支持する対象への否定だと勝手に断定された。完全なるデマである。私はあくまで五野井郁夫先生を嘲笑しているだけである。さあ、今夜は五野井郁夫先にカンパーイ!呑むぞー!先生、山崎文庫酒の種類少なくてすいません、お子ちゃま用ノンアルカクテルでもご用意すればよかったですね。これからも最先端のウケるネタ楽しみにしてます!写真は佐藤昭彦さん撮影、スマホ中毒のアラフィフ親父。
8/24(月)
子供の頃から卵が好きだった。1日に何個も食べた。目玉焼き、卵焼き、卵かけごはん。中華に行ったら必ず天津麺を頼んだ。親からコレステロールの摂りすぎだ、とよく叱られた。無論、そんなもん無視して食べ続けた。いつの頃からか、卵はいくら食べてもコレステロール値はあがらない、という説が一般化した。森光子は元気な頃、毎日生卵を3個飲んでいたときく。まあ、また卵の食べすぎはよくない、て時代が来るかもしれない。人間好きなものを好きなだけ食べればいいのである。世間はいつもあれを食べろ、食べるな、てギャーギャーうるさい!今日は無性に朝から天津麺が食べたくて登龍にきた。卵3個は入っているはずだ。あー、うまかった!
初沢君の写真展、好評開催中です。写真集もプリントも店内で販売しております。皆様、宜しくお願い申し上げます。
8/30(水)
日本国民の日米同盟支持はいまや9割を超えた。米帝の侵略戦争を支持し、資金援助は惜しまない、でも自衛隊はその後方支援にとどめたい。経済的恩恵だけは享受したい。国防も米帝に任せきる。俺たちは経済的美学的成功に専念する。平和憲法があるから米帝を守れない。基地も減らして欲しい。武器も買いたくない云々。世界で唯一のモラトリアム民族、その駄々っ子ぶり、甘えっぷりである。こんな都合のいい話がどこにあるか。さすがジブリ、幸福の科学を産んだ民族である。アホくさい!
Disney行って、Coca-Cola飲んで、McDonald食べて、Hollywood映画見て、iPhone持って、Google検索して、Twitter Facebook instagramやって、Amazonで何もかも注文する。骨の髄までアメリカナイズ、米帝支配下のストックホルム症候群だ。アホ糞エセリベラル、左翼共よ、口先だけ対米隷従批判掲げ、安倍総理、政権与党腐して害悪の転移やってんな!我々の真の敵は米帝である。ならば、やれるもんなら己の消費生活、生存様式を見直してみろ!なーんて日曜放言でした!写真は初沢くん撮影です。皆様、来月も初沢君の写真展開催しております。お待ちしてまーす!今夜は休みで飲みすぎました。おやすみなさーい。
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2 thoughts on “己も含めて日本人は摩訶不思議な民族である。8月だけ戦争についてやたら云々する。山崎文庫の日誌 2020年8月”
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