【5/27更新】自殺なんて言葉自体、破壊すべきではないか。 山崎文庫の日誌 2022年5月

東京・赤坂(港区)で営業するバー「山崎文庫」。その店主である、山崎耕史氏によるFacebookの投稿をまとめた。文章と写真は、山崎氏の許可を得て転載している。当記事の内容は山崎氏個人の見解である。(編集部)

5/2(月)
パトリス・ルコント『イヴォンヌの香り』にこんなシーンがある。女に捨てられた男に達観した男が言葉をかける。
お前、あの女を見つめすぎたか、あるいは見つめたりなかったか、と。
要するに相手を正視することは至難であるというわけだ。これぞ至言ではないか!!
まさにウクライナ危機にもあてはまる。親プーチン対反プーチン、親ゼレンスキー対反ゼレンスキー、ウクライナ派対ロシア派、過度の崇拝も棄却も対象をまともに見つめていない。重要なのは事態を、対象を、相手を正視することである。複雑怪奇な襞を丹念に辿ることである。しかし、それはモラトリアム、現実逃避、無責任な特権的第三者の立場である。ならば真っ当な立場なんぞこの世に存在しないではないか。まさに絶望的だ!!というわけで呑むしかない!!
皆様、北島明さんの写真展、5月7日まで開催しております。ゴールデンウィークも通常営業です。
なお、店内で初沢君の林忠彦賞受賞作、森綾さんの処女短編集も販売致しております。お待ちしてまーす。

5/12(木)
自殺なんて言葉自体、破壊すべきではないか。人間が自力で死ねると思うのは、傲慢の極みである。当人が死にたくて死ぬ、追い詰めらめて死ぬ、いかなる言明をもってしても所詮局所的暫定的な主体性、儚い幻想でしかない。要するに我々はたまたま偶然、いま生きながらえているにすぎない。また、いついかなる時にどのように死滅するか誰にもわからないのである。まさに絶望的だ。しかし、それにドライ過ぎても、センチメンタル過ぎても気持ち悪い。というわけで、呑むしかない‼️
皆さま、山崎雅未さんの水彩画展開催中です。呑んだくれてお待ちしてまーす!写真は、山崎さんがガラスに描いた、「荒れ狂う草花」‼️
なお、初沢君の傑作、林忠彦賞受賞写真集、森綾さんの処女短編集も引き続き販売中です。

5/21(土)
子供の頃、身近な親類や友人が死ぬと号泣した。悲嘆にくれ、数日、数週間、数ヶ月廃人同然に過ごした。それが齢48歳、いつの頃からか死の知らせに涙一つ流さなくなった。それどころか悲しみの情も湧いてこなくなった。子供の頃はアリエスも知らず、死に対する文化的歴史的制約に無知だったからか。歳をとるうち無数の死に接して、不感症になってしまったからか。あるいは、己の死を恐怖する余り、無意識的な防衛反応の結果なのか。まあこんなこと考えてもどうなもならない!というわけで、今夜も呑むしかない‼️
皆様、山崎雅未展開催中です。6月4日土曜日まで。お待ちしてます。なお、森綾さんの処女短編集も店内にて販売しております。

5/22(日)
稀代の顕学、山本貴光先生からご恵贈いただいた『マルジナリアでつかまえて2』を拝読した。
マルジナリアとはラテン語からきた英語で、本の余白への書き込みのことである。私は基本マルジナリアンではない。二度目、三度目に読む際、書き込みによる先入観を持ちたくない、また他人に己の書き込みを読まれたくないからだ。とはいえ、私は気になったページにやたら付箋を貼り、ページの端を折り、鉛筆で棒線をひく。付箋はとればいい、折り目は戻せばいい、棒線は消しゴムで消せばいい、と。しかし、大概読み返すとその付箋、折り目、棒線に引っ張られる。なんでこんなとこに!?その当時の一回的な反応を書き留めていないから、ただただ混乱するだけである。まさに本末転倒だ。ああ、私もマルジナリアンであれば、若い頃の自分がいかに稚拙極まる思考様式、感情様式に囚われていたか(今でも)まざまざと理解できたであろうに。もっとはやく山本先生に知り合っていれば、なーんて不毛な後悔しながら本日も呑んだくれております。山本先生、ありがとうございました!
皆様、ぜひ『マルジナリアでつかまえて』及び『マルジナリアでつかまえて2』いずれも本の雑誌社刊をお読みください‼️尚、店内にて森綾さんの処女短編集、初沢君の林忠彦賞受賞写真集も(残り一冊)販売しております。お待ちしてまーす‼️

5/23(月)
米帝の真性奴隷、岸田総理の会見を見た。ご主人様、米帝に盲従し、媚び諂い、忠誠を誓い、感謝する内容であった。武器を買い増し、駐留米軍にもっと資金提供しますから、中露からどうかお守りくださいと懇願した。屈辱、恥辱にまみれた、無惨極まる姿であった。しかし、岸田総理に同意しようが、反対しようが、私のように憐れもうが、米帝庇護下モラトリアム日本人の物質的基盤は同一である。私は己を憐れんでいるにすぎないのだ!いまや米帝打倒は夢のまた夢、米帝による絶対支配を逃れる方途は永久にないだろう。極言すれば、我々はもはや日本人ではない。低級アメリカ人である。まさに絶望的だ!というわけで、今夜も呑むしかない。
皆さま、山崎雅未展開催中。店内で森綾さんの処女短編集、初沢君の林忠彦賞受賞写真集販売中です。お待ちしておりまーす!ビールをなかなかうまく注げた写真は中城さん。

■前月

【4/29更新】己がいかに時空の制約を受けているか、どれほど注意してもしすぎることはない!山崎文庫の日誌 2022年4月

■次月
まだない


山崎文庫
〒107-0052
東京都港区赤坂6-13-6 赤坂キャステール
Facebook