先週の水曜日から金曜日にかけて寝込んでいました。
発熱があったため、新型コロナウイルス感染者を判別するPCR検査の受検を余儀なくされました。
こんな時代でもなければありえない体験をしたので、ここに記録しておくことにします。(杉本憲史)
■7/15(水)
校了作業があるため、必須の出勤日。会社へ行ったのは1週間ぶり。
午後7時頃、机上に置いてあった、誰かからの贈り物と思しき紙パック入りのジュースを飲む(いつ置かれたかわからず。最長で1週間、常温で置かれていた)。
午後9時半頃、残業終了して退社。チェーン店の牛丼食う。
午後10時半頃、帰宅。腹が冷えたときのような腹痛を少し感じる。しかしトイレで何も出ず。
午後11時頃、コンビニで買ったビールで晩酌開始。軽い腹痛続く。
■7/16(木)
午前0時頃、ビール500ml缶を1本空けて2本目に差しかかったところで、腹痛が増す。トイレでは何も出ず。晩酌を切り上げて布団に入る。
午前1時頃、腹痛が続いて眠れず。胸に圧迫感。酒のせいかと思い、トイレで自主的にリバース。牛丼まで遡って全部吐く。
午前3時頃まで、腹痛と胸焼けで一切眠れず。寝床とトイレを3往復くらいして吐き続ける。別室の妻子は寝静まっている。吐くものがないので買置きのミネラルウォーターのペットボトル500ml入りを1本飲み切る。この間に熱が上がってくる。3時頃に38.5度くらい。翌日の仕事をキャンセルしなければならい可能性があることを覚悟する。朝になっても起き上がれない場合に備えて妻に現状をLINEしておく。
午前8時頃まで、少し寝ては汗だくで目覚めて着替えるのを繰り返す。8時頃の検温でも38.5度。依然として腹痛。布団から起き上がる気力なし。当然、朝飯など食わず。普段は私が担当している娘(4歳)の幼稚園への送りを、妻にお願いする。
午前10時頃までに、職場や取材先にキャンセルの連絡。市内(埼玉・所沢市)の内科に電話して症状を説明すると、そんな高熱の人は診られないと言われ、県内でPCR検査をやっている「ふじみの救急クリニック」(三芳町)を紹介される。ふじみの救急クリニックに対しては、事前の電話連絡は不要とのこと。
タクシーを呼びたいが、「発熱者を県内のPCR検査実施所として知られる場所へ運ばせる」のは心が痛むので、自力で片道10kmを運転して行くことに。午前10時半頃に出発。熱は38.5度。アグレッシブな運転をするトラックが多い工業用道路を抜けていく。平日の午前中で道が混んでいる。辿りつく前に事故って死にそう。
午前11時頃、病院の駐車場に到着。駐車場は第1から第4まであり、計約50台とめられる。病院に最も近い駐車場で運良く1台分空いていたので、そこにとめる。
PCR検査会場は屋外にテントとプレハブ小屋が建てられたもので、夜戦病院のよう。基本的にプレハブ小屋が医療関係者の従事するスペースで、テントの下が受検者の待合スペースである。テント下は人々がソーシャルディスタンスを保てるよう、地面にテープで印がつけられているほか、パイプ椅子も間をとって若干数用意されている。写真を撮ろうかと思ったが、受検者のプライバシーに配慮してやめておいた。
受付のルールがわからずに往生していたら、白衣とフェイスシールド(マスクは言わずもがな)をつけた医療関係者が声をかけてくれ、検温し、問診票を書くように指示される。
指定された場所で立ったまま問診票に記入。私の場合は、腹痛、嘔吐、発熱があることを伝える。喉の痛みや咳はない。アンケートの項目で特殊なものは、「東京に行くことがあるか」「〝夜の街〟で飲食したか」「味覚障害があるか」というようなものなど。
問診票と一緒に、PCR検査の結果通知についての説明文と、陽性だった場合の自宅療養のガイドラインなど、4枚の書類を渡される。
PCR検査の結果が陽性または再検査となった場合、原則として翌日の夕方から午後9時頃までに電話で連絡が来るらしい。検査の翌々日の朝までに連絡がない場合は、陰性であったと考えて良いという。ただし、PCR検査は「3割程度の偽陰性(本当は陽性だが陰性と結果がでてしまう)が認められると言われており、陰性の結果は新型コロナウイルスに罹っていないことを証明することにはなりません。その後、ご自宅で様子をみていただき、症状が変わらない、悪化するような場合はかかりつけ医か、当院をご受診ください」とある。
自宅療養のガイドラインは、「できる限り家族との接触を避け、療養する部屋も分ける」「高齢者、基礎疾患を有する患者、妊娠中の女性には看病させない」「入浴は最後にする」など9項目。
陽性だった場合は、カロナール錠(解熱剤)、レスプレン錠(咳どめ)、ミヤBM錠(腸の諸症状を改善する薬)、レボフロキサシン錠(細菌感染症の治療薬)などが処方される模様。薬の内容は患者ごとに異なるという。
問診票に記入が終わり、書き終わったムードを出していると白衣の人が回収に来てくれる。保険証も提出する。問診票を一瞥し、軽く私の経過を訊いた後、「これなら薬はいらないね」と。
「おそらくコロナではない」という予見が立ったのだろう。こっちとしてはコロナではなくても体調不良の一大事なので「薬くらいは欲しいな」と思う。が、この検査所はコロナ感染者以外は相手にしない場所なのかしらと思い、黙っていた。
さっそくPCR検査の待合所に行くよう指示される。先客は10人強。10脚くらいある椅子はすべて埋まっていたので、立って待つ。立っている人はほかに1人。身体がしんどいので、椅子が空いたら座らせてもらった。
すぐそばでPCR検査が行われている。一度に2~3人がまとめて呼ばれる。白衣の人がボックスの中に入り、ボックスのすぐそばにある椅子に被検者を座らせる。ボックスには2つの穴が空いており、そこから白衣の人が腕を出して被検者の鼻に棒を突っ込む。左右の穴に対して行う。その間、まとめて呼ばれた残りの人は、50cm~1mくらいの間隔を空けて立って並ぶ。
待合の人々を見ても、症状があるのか無症状なのか、判別は難しい。少なくとも私が受検したときは、明らかに咳込んでいるような人はいなかった。家族や仲間同士(友達か職場か)など、グループで受けに来ているとみられる人も散見された。こういう人たちは、仲間内でコミュニケーションをとる様子からして元気そうに見えた。
PCR検査に呼ばれ、ボックスの前に立って待機している最中、プレハブ小屋の内側が少し見えた。ベッドに女性の患者らしき人が横たわっていた。ぴくりとも動かなかった。
検査自体は、インフルエンザの検査のようにすぐに終わった。鼻に棒を突っ込まれたが、そのままくしゃみをするのが憚られ、すぐにマスクで口と鼻をふさいだ。結果、マスクの中に2、3回強烈なやつをやらかしたら、鼻水だか痰だかが内側にくっついてしまった。最悪の気分。
続いて、診断に呼ばれる。診断はプレハブ小屋の中で行なわれる。ただし診断用のプレハブ小屋は無人で、診断はタブレットを使用してリモートで行われた。雑音が酷くてほとんど聞き取れず。先方がほぼ一方的にしゃべるのを、適当に相槌を打ってごまかした感じ。「腹痛が右に移動するようだったら再度医者にかかるように」などと言われた気がする。1分程度で終了。
会計待ちのスペースで待つように指示される。ここにも10脚くらい椅子が用意されている。途中、白衣の人が待合の人らにアナウンス。フローが滞らないよう、会計担当の人に医療関係の質問をしないように、とのこと。
やがて会計に呼ばれる。診療明細書は、「初・再診料:初診料(診療所)」288点、「医学管理等:院内トリアージ実施料」300点、「検査:鼻腔・咽頭拭い液採取」5点、「投薬:処方箋料(その他)・一般名処方加算1(処方箋料)」75点。領収書は、合計額6680円、負担額(請求額)2000円。
正午半頃に終了。受付から会計まで約1時間半。
処方せんは渡されず、近所にある「みどりの森薬局」で自動的に処方されるという。薬をもらえるとわかり、ほっとする。
薬局内には入らずに周辺で待ち、処方が終わると電話がかかってきて薬局前で受け取るというシステム。車で待機していると、15分くらいで着信。カロナール7日分とプリンペラン錠(吐き気どめ)5回分を受け取る。
依然として食欲がないので、コンビニでウィダーインゼリーを3種類購入し、また10km運転してほうほうの体で帰宅。
昼飯としてウィダーインゼリーを1本飲み干し、もらった薬を飲み、力尽きて眠る。起きたら夕方。汗びっしょり。熱はやはり38度台。腹痛は続く。夜に、ようやく少しだけ下痢便が出る。
この日の個人的なハイライトは、ここから翌日午前0時頃まで、死ぬ気でインタビューのテープ起こしとそれの編集・構成作業をしたことだったんですが、他の人にはどうでも良いことだと思われるので割愛します。
■7/17(金)
午前8時頃起床。朝飯はウィダーインゼリー。この日は熱が37度台にまで下がり、腹痛はまだ少しあったが食欲はあったので昼・夜とうどんを作って食った。夜は娘が私のうどんを羨ましがったので、娘の分も作ってあげるくらいには余裕が出てきた。「酒を飲みたい」とこぼしたら妻に一喝された。午後9時までに病院から電話連絡はなく、この原稿を書いている19日までにも連絡はなかったので、陰性と判断してよさそうです。
結局、私はただの食あたりだった模様。何にあたったのかは、いまだによくわからない。15日に飲んだジュースが怪しい気はするのだが、そんなにすぐ腐るジュースってある? 牛丼も超大手の全国チェーンなので、「そんなことってある?」って感じです。ただ、ゲロの味に牛丼が混ざっていたので、当分食う気にならないね。
翌18日には、娘を連れて車で出かけられるくらいに回復した。重い食べものは食べる気がしなかったが、食事も普通にできた。
私の住む地域でのPCR検査の様子が伝わり、少しでも参考になる人がいたら幸いです。
4 thoughts on “ふじみの救急クリニック(埼玉)でPCR検査を受けた”
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