B’z「いつかのメリークリスマス」の主人公は、なぜ恋人に「椅子」をあげたのか

妻「今日、B’zの『いつかのメリークリスマス』を聴いてたんだけどさあ、『君の欲しがった椅子を買った』って歌詞あるじゃない? あれ、ありえなくない? クリスマスに彼女に贈るものが椅子って」

俺「何で? 別にいいじゃん」

妻「だって椅子だよ? そんなもんもらって嬉しいか?」

俺「『君の欲しがった』って書いてあるじゃないか。欲しがってたから買ってあげたんだろ」

妻「でも椅子って……。他にクリスマスらしいプレゼントあるだろ。しかも『閉店まぎわ』に買った椅子を抱えて電車に乗るのも、その時間の電車は混んでるだろうし迷惑だよ。それで『ひとりで幸せだった』って……、なんか独りよがりな感じで痛いんですけど」

俺「じゃあ他に何を贈ればいいっていうんだ? いいか、ここで重要なのは、これが歌の歌詞だってことだ。イケてるものなら何でもいいわけじゃない。ここは音数的に、2音のものしか入らないんだ。指輪だのネックレスだのは、ここには入れられない。稲葉さんだって、作詞で悩みに悩んだ末辿り着いた答えが椅子だったのかもしれない」

妻「何か他にあるだろ」

俺「いや、真剣に考えてみると、これがなかなか難しいよ。イカとかタコってわけにはいかないし、『本』なんかは一見良さそうだけど、そうすると『ん』の後に『を』が来て歌いにくい。あとここはメロディ的に、2音目が上がるような音のものがのぞましい」

妻「靴とか」

俺「サイズがわかんないだろ」

妻「彼女のサイズくらい知っとけよ」

俺「いやいや、靴なんかは、例えば革製のものだとジャストサイズが良いのかと思えば意外と大きすぎたり小さすぎたりなんてことがあるから難しい。履いてみたら靴擦れして痛いなんてこともあるし。こういうのは試着してもらわんと」

妻「じゃあ服とかさあ」

俺「女モノの服を男1人で買いにいくのは相当ハードル高いよ」

妻「でもやっぱり、この歌詞に納得がいかないんだよ。2番で『君は心から喜んで』とか書いてあんの。プレゼントした本人が、なんで相手の気持ちを『心から喜んで』るとわかるんだよ」

俺「俺だって、交際時代にお前にペアの座椅子をプレゼントしたことがあるじゃないか。喜んでただろ、あのとき」

妻「あれは、あんたがよくうちに来るけど、あんたの椅子がないからあんたが欲しがってたんだろ! ……なるほど、稲葉さんも、彼女の家に自分の場所がないから自分用に椅子を買ったのか! なのに、『君の欲しがった椅子』とか『君は心から喜んで』とか自分に都合のいい理屈をつけて……。だからフラれたんだよ、この歌詞の中の男は! そして、あんたと稲葉さんって同じような思考回路なんだ。あんたがB’z好きな理由がよくわかった気がするよ」