78年にDave Chandler(G)を中心にLAにて結成。当初はTYRANTと名乗っていたが、80年にSAINT VITUSへ改名。初期のアルバムがBLACK FLAGのギタリストGregg Ginnが主宰するSSTからリリースされていたことからわかるように、当時のメタル・シーンとはそりが合わずハードコア界隈との親交が深かった。後のスラッジ・コアにも絶大な影響を与えた。SSTから84年に1stをリリース。メリーランド出身でワシントンDCのドゥーム・ロック・バンドTHE OBSESSEDを脱退したScott “Wino” Weinrich(Vo)が加入。89年までに三枚のアルバムをリリース。90年にWinoがThe Obsessed再結成のため脱退。その後、2枚のアルバムをリリースするが96年に解散。Daveは01年にDEBRIS INC.を結成。03年に数本のライブに出演するため限定的な再結成を果たす。07年に当時Winoが率いていたTHE HIDDEN HAND、08年にDaveのDEBRIS INC.が解散。10年に正式な再結成を発表。12年にWino(Vo)、Dave(G)、Mark Adams(B)という2nd~4th時のメンバーと10年に逝去したArmando Acostaに代わり元DEBRIS INC.のHenry Vasquez(Ds)を加えたラインナップで8th”Lillie: F-65”をリリース。14年、ヨーロッパ・ツアーの最中にWinoが違法薬物の所持でノルウェー当局によって逮捕、本国に強制送還されてしまう。残りのツアーはトリオで行われた。2015年に初代ヴォーカルのScott Reagers が復帰。2016年のフィラデルフィア公演のアンコールではWinoとのツインヴォーカルで”Born Too Late”をプレイした。同年、結成時からのオリジナル・メンバーMark Adams(Ba.)がパーキンソン病のため離脱。後任として元CROWBAR、現DOWN他のPat Brudersが加入。2019年に7年ぶり、9枚目、そして二度目のセルフタイトル作(!)”Saint Vitus”をリリース。
1. Saint Vitus 04:49
2. White Magic/Black Magic 05:27
3. Zombie Hunger 07:22
4. The Psychopath 09:26
5. Burial at Sea 08:39
Total:35:43
Label: SST
ヘア・メタル全盛だったLAの地下音楽シーンから登場したSaint Vitusのデビュー作。リリースはBLACK FLAGのGreg GinnのレーベルSSTから。BLACK SABBATH、NWOBHMに根差したダークで引き摺るようなヘヴィ・サウンド。Scott Reagersののっぺりとした歌声、こもり気味の音質とアンダーグラウンドの妖しさ満載の一枚。Dave Chandler(G)のプレイも素晴らしい。表題曲にしてバンド名を冠した名曲#1、NWOBHM風の#2、ギター・ソロが光る#4など全曲必聴。Wino在籍時の作品よりも本作を最高傑作と推す者も少なくない。
1.War Is Our Destiny 04:05
2.White Stallions 05:21
3.Mystic Lady 07:37
4.Hallow’s Victim 02:40
5.The Sadist 03:56
6.Just Friends (Empty Love) 05:40
7.Prayer for the (M)asses 04:46
Total:34:05
Label: SST
2nd。彼らの作品中最もドゥーム分が薄く、ストレートな作風だが、CHURCH OF MISERYもカバーしたキャッチーなアップ・テンポ曲の#1”War is Our Destiny”、これぞドゥーム!な#3”Mystic lady”、ハードコア風に疾走する#4”Hallow’s Victim”、BLACK SABBATH影響下の#7” Prayer for the (M)asses”など名曲多数。RAWな音質も素晴らしい。本作を最後にScott Reagers(Vo)が脱退。現在は『The Walking Dead』EPとカップリングされたヴァージョンで入手可能。
1.Born Too Late 06:56
2.Clear Windowpane 03:19
3.Dying Inside 07:27
4.H.A.A.G. 05:04
5.The Lost Feeling 05:25
6.The War Starter 06:46
Total:34:57
Label: SST
ワシントンDCで活動していたTHE OBSESSEDのScott “Wino” Weinrichがヴォーカルで加入。前作で薄れていたドゥームさを取り戻し、ドゥーム史に残る名盤となった87年発表の3rd。前任のScott Reagersとは対極にある野太いWinoのヴォーカル、弾きまくるDave Chandlerのプレイ、そしてやっぱりRAWでこもり気味の音質、とどこを取っても隙の無い完璧なドゥーム・アルバム。タイトル・トラックの#1はドゥームを愛する者すべてのアンセムだ。
1. The Creeps 02:48
2. Dragon Time 07:28
3. Shooting Gallery 06:45
4. Bitter Truth 04:15
5. The Troll 06:57
6. Looking Glass 04:51
Total:33:04
Label: SST
傑作“Born To Late”から2年ぶりとなった88年発表の4th。本作からScott “Wino” Weinrichがギターも兼任。#4“Bitter Truth”と#6“Looking Grass”の作曲も手がけている。スロー、ヘヴィ、ダーク、ロー・ファイな音質は変わらず(#1冒頭はアップ・テンポだが)。”むせび泣き”というタイトルの通り陰鬱度が高く、ドラマティックな楽曲が増えた印象。前作に劣らぬ傑作。
1.Living Backwards 02:31
2.I Bleed Black 05:14
3.When Emotion Dies 02:11
4.Patra (Petra) 07:32
5.Ice Monkey 04:01
6.Jack Frost 07:26
7.Angry Man 04:30
8.Mind-Food 03:12
Total.36:37
Label: Hellhound
1.Intro 01:46
2.Children of Doom 06:09
3.Planet of Judgement 07:40
4.Shadow of a Skeleton 05:56
5.(I Am) The Screaming Banshee 03:50
6.Plague of Man 08:01
7.Imagination Man 04:25
8.Fear 05:00
9.Get Away 07:23
10.Bela 05:58
11.A Timeless Tale 02:17
12.Hallows Victim (Exhumed) 04:03
Total:01:02:28
Label: Hellhound
WinoがTHE OBSESSED再結成のため脱退。スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドCOUNT RAVENの元ヴォーカルChristian Lindersonが加入。プロデューサーにDon Dokken(DOKKEN)を迎えて制作された6枚目。謎の人選のプロデューサー、ヴォーカルの交代はあるが、音楽性は前作の延長線上・・・なのだが、どうにも煮え切れない一枚。尺が前作までのほぼ倍である60分になったことで前半は楽しめても後半に入ると冗長に感じられる。2013年に2曲のボーナス・トラックを追加してSeasons of Mistから再発された。
1.Dark World 04:57
2.One Mind 04:34
3.Let the End Begin 07:36
4.Trail of Pestilence 05:11
5.Sloth 08:11
6.Return of the Zombie 06:42
7.In the Asylum 08:12
8.Just Another Notch 04:30
Total:49:53
Label: Hellhound
7枚目。Christian Linderson(Vo)を解雇、当初はDaveがVocalを兼任してトリオで制作が進められていたが、Scott Reagersが再加入。プロデューサーはSODOM、KREATOR、VOIVODなどを手掛けたHarris Johns。ほぼ全編不吉な単音リフを繰り返すスロー&ヘヴィなナンバー中心。唯一のアップテンポ・ナンバー#8”Just Another Notch”の歌詞通りScott Reagersのヴォーカルは気合が入っているが、空回りしている。「悪い意味でB級」な一枚。本作発表後の96年にバンドは解散。Dave Chandlerは01年にDEBRIS INC.を結成している。
1.Let Them Fall 04:01
2.The Bleeding Ground 06:20
3.Vertigo 02:43
4.Blessed Night 04:08
5.The Waste of Time 05:51
6.Dependence 07:53
7.Withdrawal 03:33
Total:34:29
Label: Seasons of Mist
17年振りとなった復活作にして8枚目。Scott “Wino” Weinrichが復帰。オリジナル・ドラマーのArmando Acostaが2010年に逝去したため、SPIRIT CARAVAN、元DEBRIS INC.他のHenry Vasquezが叩いている。Dave Chandlerの唯一無二のギタープレイ、Winoの歌声、そして7曲33分と尺まで全盛期を彷彿とさせる真正ドゥーム。『V』の続編のような一枚。海外メディアでは高い評価を得て、多数の年間ベストに選出された。
1.Remains 06:23
2.A Prelude to… 03:20
3.Bloodshed 03:01
4.12 Years in the Tomb 05:24
5.Wormhole 05:22
6.Hour Glass 05:23
7.City Park 04:01
8.Last Breath 06:38
9.Useless 01:32
Total:41:04
Label: Seasons of Mist
前作から7年ぶりの9thにして二度目のセルフタイトル作。なんやかんやあって脱退したWinoに代わり、”Die Healing”以来24年ぶりのScott Reagers参加作。BassはMark Adamsがパーキンソン病のため、DOWN他のPat Brudersに交代(Daveは現在New Orleans在住らしいが、その繋がりだろうか?)、Patは作曲にも参加。プロデューサーは前作に引き続きMOS GENERATORのTony Reed。これがドゥーム、これぞドゥームといったDaveのリフ、分厚いベースにハード・ヒッティングなドラム、Scott Reagersの歌声も力まず、弛まず、渋さが増している。ヴィンテージ・ホラー映画の墓場で焚かれる煙幕のような不穏不吉のムードが充満する中を進み、ついにその命の蝋燭が燃え尽きるかのような風情の#8で幕を閉じると思いきや、怒気に満ちたハードコア・チューン#9で中指を突き立てながら疾走してゆくラストは痛快。
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