2019
2018
2019年
今年も色々ありました。会社が消滅したり。他には特にありませんでした。いや、ありました。
今年は去年の年間ベストに入れた沈む鉛(アルバムの流通は今年開始)のライブを通して、MUGANO、North By Northwestを観られたのが収穫でした。新しいバンドが着実に出てきていますね。ダンウィッチの犬改めBorges Ne Gero & Curse of Sangueliaのライブも良かったです。他にも観てみたいバンドはいるんですが機会に恵まない・・・。来年こそは。海外勢の来日ラッシュも凄まじく、加えて来年は既にThe ObsessedとPentagramが決まっているという、数年前の自分にいっても信じられないような状況に。
音源は国内はGREENMACHiNE、Warter、Dhidalah、God And Electric Sheeps(このバンドも今年の収穫でした)等がアルバムをリリース。海外はリリースをチェックしていて気づいたのですが、去年の年間ベスト記事で挙げたYawning Man、Stonefield、Here Lies Manが今年もアルバムをリリースしています。体感ですけど、多作なバンド増えているような?それをサポートできるレーベルやらもあるってことですから、なかなか凄いことですね。
来年はどうなんでしょう。とりあえずThe Obsessed(Wino)とPentagram(Bobby)が無事入国できることを祈っておきます。
Albums
Saint Vitus – “Saint Vitus” Season Of Mist
まさかの二度目のセルフ・タイトル作となったドゥームゴッドの9thフル。WinoがやらかしてScott Reagers (Vocals)が復帰。「生まれるのが遅すぎたぜ」と嘯いてから幾星霜。今作リリース時のハイプを見るに、時代がようやく彼らに追いついたのではないでしょうか。祈・来日。レビューはこちら。
Nothing Is Real – “Pain Is Joy” Self-Released
汚いスラッジが好きです。汚くて変テコなスラッジはもっと好きです。年末にすごいのが飛び込んできましたよ(12/22リリース)。LA拠点という情報以外は詳細不明のバンドによる4th。トラディショナル・スラッジの不穏さを強烈に発散しながら、サックス!女声!アコギ!とWarhorseを彷彿とさせる静と動の演出に、後半では所々Acid Bathを思わせるパートもあったりして、もう最高。今年から活動を開始したっぽいのに、本作含めてアルバム4枚、EP1枚という異様なペースでのリリースが不気味(すべてデジタル・リリース)。来年の動きに注目したい。
Moon Duo – “Stars Are the Light” Sacred Bones
ex-Wooden ShjipsのRipley JohnsonとSanae Yamada夫妻が、Sonic BoomことPeter Kember(ex-Spacemen 3、Spectrum、E.A.R、本作ではミックス担当)と組んで放った7th。轟音ギターはすっかり鳴りを潜めた代わりにヒプノティックなシンセに70sファンク、ディスコのグルーヴと”踊り”にフォーカスした陽性サイケデリア。サイケデリックカルチャーのブライト・サイドを軽やかな足取りで渡り歩く。聴いていると思わず口元が綻んでくる。
Goatess – “Blood and Wine” Svart
スウェーデンの4人組による3rd。Samuel Cornelsen (Bass, Count Raven)、Karl Buhre (Vocals, Crucifyre)加入後初のアルバム。このバンドはストーナー〜デザートロックを北欧エピックドゥームに溶かし込む塩梅がとにかく絶妙で(そんなバンド掃いて捨てるほどいるだろ、と思われるかもしれませんが)、この3rdで更に磨きをかけてきた印象。
Dhidalah – “Threshold 発端” Guru Guru Brain
東京のトリオによる待望の1stフル。Ash Ra Tempelらクラウトロックの「行くとこまで行ってやる」メンタルを、70sヘヴィサイケ~ハードロックのフィジカルの強度=ヘヴィネスで補強した、日本では稀有なタイプのヘヴィ・スペースロック。フィジカルと言ってもモッシュを誘うようなスポーティさではなく、訓練に勤しむ宇宙飛行士のようなストイックさ。そもそも「宇宙に行く」って肉体的には全然健康なことじゃないわけで不健康なことをするには健康な肉体が必要なんですね(おめめグルグル)。言いたいことは一つ。ライブが観たいです。
Heavy Relic – “Seven Relics” Self-Released
Nick Tooneなる人物を中心とした英国のバンド?の2nd。影響を受けたバンドにEarthless、Samsara Experimentに加えてOzric Tentacles、Bevis Fondを挙げていて、「おっ」と思いチェックしたら大当たり。上記のDhidalahとはまた違った形でのドゥーム~ハードロック・インフルエンスドなヘヴィ・スペースロックで大満足。
Nebula – “Holy Shit” Heavy Psych Sounds
米ストーナーレジェンドの復活作。プロト・メタル的要素を大幅に取り入れるも、やっぱり絶妙な煮え切れなさ。でも、これぞNEBULA。これでいい。これがいい。レビューはこちら。
Roadsaw – “Tinnitus the Night” Ripple Music
こちらも復活作。95年結成、米ボストンの4人組で、Small Stone Records全盛期を代表するバンドのひとつ(たぶん)による8年ぶり、8枚目のアルバム。かつてはRawなRockで”Rawk”なんてのを掲げていた(全く流行らなかった)わけですが、今風に言えばSleazy、要はアドレナリン分泌促進剤の如きハイエナジーダーティロックンロール。ジャケが完璧。今年のジャケ大賞。
The Dandelion – “Old Habits and New Ways Of The Dandelion” Blackspin
The Dolly Rocker MovementのフロントマンDaniel J Poulterのソロ・プロジェクトとして始まり、現在はNathalie de Silverなる人物主導のプロジェクトの4th。ジャケから60年代オブスキュア・サイケの香りがプンプンする・・・!ここでいう60年代とは「〇〇っぽい」という意味ではなく、スウィンギンロンドンなサイケポップを軸にブリティッシュ・フォークからサーフロックとジャンルの垣根を自由気ままに飛び越えてイノセントな笑顔で躍るマインドにあり。
舐達麻 – “GODBREATH BUDDHACESS” APHRODITEGANG HOLDINGS
時間を忘れて聴き続けてしまうドープなトラックにMSCを彷彿とさせるハードコアなリリック。”たかだか大麻 ガタガタぬかすな”も最高のパンチラインだけど、個人的には”HIGH TIMESでBURST HIGH”(『FLOATIN’』)でガッツポーズ。加えて埼玉出身、メンバーがアラサーということで勝手にシンパシーを抱いてしまいました。
Mammoth Weed Wizard Bastard – “Yn Ol I Annwn” New Heavy Sounds
2014年に(((Mother of Six)))なるバンドのメンバーらによって結成された英国ノースウェールズの5人組による3rd。Jessica Ball(Vocal, Bass)のクリスタルクリアな歌声を乗せた重低音コズミックドゥーム、という図式はそのままに引き摺り切らない歯切れの良さが非ドゥーム・リスナーにも耳になじみやすくなっているのではないでしょうか。
Black Bombaim – “Black Bombaim” Cardinal Fuzz/Lovers & Lollipops
ストーナーロックの境界線を拡張し続けるポルトガルのトリオによる7thで、ポルトガルの電子音楽家3名とのコラボ作。レビューはこちら。
Luna Sol – “Below The Deep” Slush Fund
ストーナーロック一筋25年、経歴で一番有名なのはJohn Garcia(ex-Kyuss他)がやってたHermano・・・と書くと微妙な感じがしてしまうDave Angstromさん(Vo, Gu)ですが、彼主導のLuna Solは本当に素晴らしいです。レビューはこちら。
L’Épée – “Diabolique” Because Music
The Brian Jonestown Massacreの総帥、最近だとTess Parksとの精力的なコラボも記憶に新しいAnton Newcomb、フランスのガレージ・ロック・デュオThe Liminanas、同じくフランスの女優で歌手としても活動するEmmanuelle Seigner (Ultra Orange and Emmanuelle)によるスーパープロジェクト。ヴォーカル誰?えっRoman Polanskiの奥さん!?『ナインスゲート』の謎の超人姉ちゃん!?アルバム・タイトルはMario Bava監督作からなの!?、と変なとこでツボを刺激されました。
Al Lover – “Death In Texas” Self-Released
GoatやWhite Fenceとのコラボ歴があるサンフランシスコのプロデューサー/DJのソロ作。サイケデリックロックをネタにしたchopped&screwedで「こういうのないかなー」と思ってた時期に発見したので、この作品含め彼のディスコグラフィー(作品毎にスタイルは異なる)をよく聴いてました。次はドゥームネタでやって欲しい。
Ecstatic Vision – “For The Masses” Heavy Psych Sounds
米フィラデルフィアの4人組による3rd。一頃のMonster Magnetのようなヒリヒリ、ザラザラとした蛮からヘヴィサイケ。思えば、彼らの1stがRelapseからリリースされたのが、今日におけるメタル/ハードコア界隈でのサイケデリックロックのテリトリー拡大を象徴する出来事の一つだったような気がしなくもない。本作はHeavy Psych Soundsからのリリースで、収まるべきところに収まった感じ。
GREENMACHiNE – “Mountains of Madness” Daymare / LongLegsLongArms
95年結成、金沢の”ハードコア・ロック”バンドの4thフル。ハードコア、メタル、ハードロック…ジャンルも時代も溶けて渦巻くメルティングポット。彼らが分類されることもあるドゥーム/ストーナーの世界にも最近は似たようなことをやろうとしてるバンドは大勢いるわけですが、小手先では死んでも出せないであろう熱量が凄まじい。ていうか待てよ、GREEMACHiNEて元からこういうバンドだったじゃないか・・・スゲエ(今更)。
SUNN O))) – “Life Metal” Southern Lord
以前ほど熱心にドローン系は聴いていないし、ぶっちゃけ今でもドローン・メタルと聞くと若干身構えてしまう自分でも、耳からスルリと入り込んで体全体に馴染む本作の滑らかさには舌を巻いてしまいました。ソフトな側面が強調されているとはいえ、改めてゲームチェンジングというかマインドチェンジングなバンドなのだなと。
Jessica Pratt – “Quiet Signs” Mexican Summer
サンフランシスコ拠点のSSWによる3rd。フォークというのは引き算の美学だと勝手に思っていて、ピアノやフルートなども導入されているけど最小限度、あくまで淡々とした弾き語りが中心という本作は私の理想のフォーク・サウンドそのもの。そしてレコードに針を落とした瞬間から空間を包み込む、柔らかくて暖かいアトモスフィアがもう・・・。宙を舞う埃すら実は美しい何かなんじゃないかと錯覚させられる。掃除しなきゃ・・・。
Tool – “Fear Inoculum” Tool Dissectional/RCA
B L E S S T H I S I M M U N I T Y
その他よく聴いた作品 HONORABLE MENTIONS
Bill MacKay – “Fountain Fire” Drag City
Billie Eilish – “When We All Fall Asleep, Where Do We Go?” Darkroom / Interscope
Centrum – “För Meditation” Rocket Recordings / Svensk Psych Aften
Earth – “Full Upon Her Burning Lips” Sargent House
FKA twigs – “Magdalene” Young Turks
God And Electric Sheeps – “Space Cowboy” NOYMANN
Here Lies The Man – “No Ground To Walk Upon” Riding Easy
Lamagaia – “Garage Space Volume 1” Cardinal Fuzz
レビューはこちら。
Nick Cave & The Bad Seeds – “Ghosteen” Ghosteen Ltd.
The Picturebooks – “The Hands of Time” Century Media
The Re-Stoned – “10π” Clostridium
Rokurokubi – “Saturn in Pisces” Time Spun
レビューはこちら。
Stonefield – “Bent” Flightless
Warter – “Deep” Self-Released
Yawning Man – “Macedonian Lines” Heavy Psych Sounds
2018年
毎年、年末と年明けは「来年/今年は何もないんじゃないかな・・・」なんて卑屈なことを思ったりもするんですが、毎年絶対そんなことはないですね。素敵な作品の数々に触れながら、オランダまでRoadburn観に行ったり、私生活で色々あったりでバタバタと愉快に平成最後の年を過ごしました。
よく聴いた作品については下記で。国内ライブではつい先日観たAZARAK(BLUE BEARD他のTogawa氏、元CHURCH OF MISERYのJUNJI氏、元CoM、DHIDALAHのIkuma氏によるバンド)に完全やられてしまいました・・・サイケ、ストーナーというよりデザートロックと呼びたくなるような日本ではまず観られないタイプのバンドで、音源の準備等もしているようなので2019年は注目したいです。
今年の弊社からのリリースとしてはCONFUSION MASTERの『邪神の目醒め』、WITCHSLAUGHT杉本氏監修・主筆の『Vintage and Evil ヴィンテージ・アンド・イーヴル』を出させていただきました。来年はペキンパー、出したいですね。2019年もよろしくお願いします。
ALL THEM WITCHES – “ATW” New West
向かうところ敵なし状態の米ナッシュヴィルのサイケデリックブルーズ・バンドALL THEM WITCHESの4th。アルバムごとにスタイルをガラッと変えてくる彼らの実質セルフタイトルである本作は、前作(17)路線の”1st vs. 2nd”や”Dying~”(15)風のダークなサイケデリアを聴かせる♯2等キャリアの総決算的な内容。本作発表後にオルガンとキーボードが脱退し、オリジナル・メンバーのみのトリオ編成に。
お気に入り曲:”1st vs. 2nd”、”Rob’s Dream”
YOB – “Our Raw Heart” Relapse
バンドの存続はおろか命まで危ぶまれたMike Scheidt率いるYOBの8thは、「地獄の淵の砂は魔法の砂・・・」ではありませんが強力な復活作となりました。緻密に展開する長尺曲にMikeの多彩な歌声が乗るYOB印のドゥームロックで死への恐怖、命の力強さと儚さというダイナミクスと繊細さを見事に描き切っている。”剥き出しの心(臓)”というタイトルもグッとくる。”Beauty in Falling Leaves”は私的今年のベスト・トラック。
お気に入り曲:”Beauty in Falling Leaves”、”Original Face”
CYPRESS HILL – “Elephants On Acid” BMG
DJ Muggsが見た夢を元に創られたというHIPHOPレジェンドCYPRESS HILLの9枚目のアルバムは、お馴染みのストーナーラップ(“Jesus Was A Stoner”!)から中東風メロディの導入やトリップホップ、果てはDJ Muggsの葬式用の曲まで、徹頭徹尾サイケデリック、シュールレアリスティックでホーリーマウンテンな力作。エジプト人シンガーを迎え、FLOWER TRAVELLIN’ BANDの”SATORI Part.3″を使用した#2″Band of Gypsies”は”こっち”側にも十分アピールできる一曲ではないでしょうか。
お気に入り曲:”Band of Gypsies”、”Stairway To Heaven”
DOPETHRONE – “TRANSCANADIAN ANGER” Totem Cat
GIMME GIMME DA WEEEEED !!! 今年めでたく大麻が合法化されたカナダのDOPETHRONEが快作をリリース!といっても「大麻解禁ウェーイ」なノリではなく、「大麻以外のモノやってますよね?」系マーダラス・スラッジ/ドゥーム(そもそもリリースは合法化前)。新しく入ったドラマーの影響なのかドライブする曲/パートがむちゃくちゃカッコいい。
お気に入り曲:”Killdozer”
STONEFIELD – “Far From Earth” Flightless
オーストラリアの4姉妹によるバンドの3枚目のアルバム。プロデューサーはカナダのサイケ・バンドBLACK MOUNTAINのStephen McBean。レーベルはKING GIZZARD & THE LIZARD WIZARDの作品等をリリースしているFlightless Records。ハードロック、サイケ、フォーク、ディスコおよびポップスと、70年代のエレメントを現代の感覚で組み合わせるというUncle AcidやBlood Ceremony(いずれも70年代にいそうでいないタイプ)、ジャンルは違えどGhost B.C.やThe Shrineなどに通ずる現行/若手らしいスタイル。ディスコ、というかABBA?な”Visions”が好き。
お気に入り曲:”Visions”
STONED JESUS – “Pilgrims” Napalm
数年前から盛り上がりを見せているウクライナのドゥーム/ストーナー・シーン。そのシーンを代表するバンドであるSTONED JESUSが今年リリースしたアルバムは、その盛り上がりの「結実」と言ってもいいような傑作でした。プログレ・ドゥームというか、YESやKING CRIMSONにドゥームっ気を注入したようなプログレッシヴ・ロック(参照元はたぶんMASTODON)。以前のバカっぷりと比べると大分おとなしくなっちゃったなと思っていたら、#6で”LET IT GROW!”連呼してて根は変わってないんだと一安心。関係ないですけど、youtubeのこれの再生回数が約1200万回ってどういうことなの・・・。
お気に入り曲:”Water Me”
SATAN’S SATYRS – “The Lucky Ones” Riding Easy/Bad Omen
いつの間にかELECTRIC WIZARDから抜けていたClayton Burges。本作を聴くとEWに収まって終わる男ではなかったのだと思わされます。「奇妙さを捉えたかったんだ。自分の普通じゃないセンス(my unusual tastes)が反映されているけど、個人的な視点も入っている」という言葉に偽りなく、パンキッシュでメタリック、ポップでヘヴィ、ドゥーミーでグラミー、チープでドラマティック・・・なのにとっ散らからない奇跡のような9曲34分。せめて日本公演の後に抜けてほしかったな・・・。
お気に入り曲:”She Beast”
THE DEATH WHEELERS – “I Tread On Your Grave” Riding Easy
上記SATANS SATYRSが1st “Wild Beyond Belief” (12)で提示したドゥーム・パンクはフォロワーを(極一部で)大量に生み出しました。本家はあっさりとその路線を一作のみで捨ててしまったわけですが、その音楽性と精神性を受け継ぐ作品群の中では本作が最高峰じゃないでしょうか 。HERETIC RITESのジェリコ君も「最高!」って言ってました。
お気に入り曲:”Roadkill 69″
ANTHROPROPHH – “OMEGAVILLE” Rocket Recordings
今年のRocket Recordings枠。THE HEADSのPaul Allen(Vocals, Guitars)のソロ・プロジェクトの二枚組アルバム。リズム隊は同郷のノイズロック・デュオBIG NATURALS。本作、特に前半はは過去最高にテンションが高く、BUTTHOLE SURFERSや日本のHIGH RISEあたりにも通ずるパンキッシュなバッドトリップサイケで、最初聴いた時は体調悪かったせいかすぐギブアップ。アルバム全体としてはノイズ、サイケ、クラウトを総覧したような仕上がりで、コンセプチュアルなアルバム・タイトル(ゴダール監督のディストピア映画『アルファヴィル』のパロディ)や曲名も想像力を掻き立てられる。
お気に入り曲:”I”
EARTHLESS – “Black Heaven” Century Media
EARTHLESS – “From The West” Century Media
ヘヴィ・サイケデリック・ジャム・モンスターEARTHLESSの4枚目のアルバムとライブ・アルバム。Roadburnでダモ鈴木、幾何学模様とのコラボも観られたし、何気に今年はEARTHLESSイヤーでした(単体はちょこっとしか観られなかった)。”Black Heaven”は6曲中4曲でIsaiahのヴォーカル入りという新機軸。元々ハードロックやブルースは重要な要素だっただけに違和感はまるで無いどころかごく自然。そのヴォーカルはモロに70sオブスキュア・ハードロック風でニンマリ。
お気に入り曲:”End to End”
SLEEP – “The Sciences” Third Man
突如としてリリースされたドゥーム/ストーナー界の現人神SLEEPの新作。聖なる山を完登し聖地を巡ったら、もう宇宙に飛び出すしかありませんよね。これでドラムがChris Hakiusだったら・・・なんて考えないこともないですが。来日公演は飲み過ぎて途中から記憶を失いました。
お気に入り曲:”Marijuanauts Theme”
WINDHAND – “Eternal Return” Relapse
今年結成10周年となるWINDHANDの4thで、オリジナル・ギタリストAsechiah Bogdan脱退後4人編成となってから初のアルバム。プロデューサーにNIRVANAなどオルタナ~グランジ系を数多く手がけてきた(HIGH ON FIREの4thも)Jack Endinoを起用。ソロ活動を行ったことも影響してか表現力が増したDorthia Cottrellの歌声を中心にDINOSAUR JR.等90sオルタナティヴ~グランジ色を取り入れて間口を広げつつも、根本はあくまでトラディショナル・ドゥームであることを見失わない姿勢は見事。
お気に入り曲:”Red Cloud”、”Diablerie”
YAWNING MAN – “The Revolt Against Tired Noises” Heavy Psych Sounds
デザートロックの始祖(諸説アリ)YAWNING MANの6th。Mario Lalli(FATSO JETSON、Bass, Vocals)が歌う#4″Grant’s Heart”もありますが、本作の聴き所は何といってもKYUSSが”…And the Circus Leaves Town”でカバーしていたことでお馴染みの#6″Catamaran”が初の正式音源として収録されていることでしょう(こちらも歌っているのはMario)。デザートロック≠ストーナーロックというのは検証してみたいところ。
お気に入り曲:”Catamaran”
鬼 – “Dopefile” DROP OUT PROJECT ENTARTAINMENT
クラブペキンパーでヒップホップ好きなお客さんから「絶対好きですよ!」とおすすめされ見事にドハマりしたのが鬼。本作はコラボをテーマにした新宿・ゴールデン街の情緒溢れる2枚組の編集盤。名曲「小名浜」からほぼキャリア順に聴いていったんですが、リリック、フロウともに本当にいい年の重ね方をしているなあ。女声+ジャジーなトラックでのハマりっぷりよ。
お気に入り曲:”終わったばかり”
A PERFECT CIRCLE – “Eat The Elephant” BMG
一曲目聴いた時は「・・・これPUSCIFERの新作じゃないの?」なんて思ってしまいましたが、ピアノやストリングス、各種打楽器を中心とした作風は、”Mer De Noms”(00)~”Thirteen Step”(03)みたいなのを期待するとアレですが、”Emotive”(04)の延長線上と考えると割と納得がいく作風だと思います。自身が提示したオルタナメタルのスタイルをアップデートしたような#4″The Doomed”、#7″By and Down the River”が白眉。
お気に入り曲:”The Doomed”
SPIRITUALIZED – “And Nothing Hurt” Bella Union
J.Space ManことJason Pierce率いるバンドの6年振り、8枚目のアルバム。Jason独りで制作されたという本作は壮大ナオーケストレーションを交えたガレージロックからフォーク、カントリー、すべてが多幸感に溢れ、柔和な明るさに満ちたBEACH BOYSの”Pet Sounds”を引き合いに出したくなるような珠玉の一品。彼の宇宙ではこんな素敵な音が鳴っているのかとしみじみと聴き入った次第。宇宙飛行士ジャケ、モールス信号でアナウンス/メッセージを発信するなどSLEEPと妙なところで重なるのが面白い。金欠MAX時だったためライブには行けず。
お気に入り曲:”A Perfect Miracle”、”The Mourning After”
MONSTER MAGNET – “Mindfucker” Napalm
還暦を超えて(御年62歳!)なお精力旺盛な Dave Wyndorf (Vocals, Guitar)率いるMONSTER MAGNETの10枚目。リズム隊はTHE ATOMIC BITCHWAXのメンバー。キャッチーで猥雑で埃っぽいサイケデリックヘヴィロックンロールは相変わらず。これまでの作品の中では最もBLACK SABBATHやIGGY POPなどルーツ・ロックに接近した一枚かも。ナイーヴな一面を見せて泣きを誘うブルージィなバラード#6も最高。
お気に入り曲:”Drowning”、”All Day Midnight”
その他よく聴いた作品 HONORABLE MENTIONS
BLACK SALVATION – “Uncertainty is Bliss” Relapse
レビューはこちら。
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